くまえもんのネタ帳2

放置してたのをこちらに引っ越ししてみました。

緑雫碧水滴翠

2009-10-29 11:16:00 | ノンジャンル


  緑深き地底より湧きいで
  田畑の隈々を経巡る血管
  緑濃き家並屋並を湿らせ
  地下鉄の軌道を緑に染め
  嬰児の眼差しを潤ませて
  碧緑の千歳緑の八千草の
  暗緑の照葉樹森の山鳩の
  翼に宿る曙を濡らし輝く
  我はかそけき水霊の一滴



「私はまた旅に出た。――
所詮、乞食坊主以外の何物でもない私だつた、愚かな旅人として一生流転せずにはゐられない私だつた、浮草のやうに、あの岸からこの岸へ、みじめなやすらかさを享楽してゐる私をあはれみ且つよろこぶ。
水は流れる、雲は動いて止まない、風が吹けば木の葉が散る、魚ゆいて魚の如く、鳥とんで鳥に似たり、それでは、二本の足よ、歩けるだけ歩け、行けるところまで行け。
旅のあけくれ、かれに触れこれに触れて、うつりゆく心の影をありのまゝに写さう。
私の生涯の記録としてこの行乞記を作る。」
        行乞記(一)種田山頭火



  山の花は山の水に活けてをき
            山頭火

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