先日の下記の罪責の検討です。
甲はパスタ屋に入った。
好物のニンニクの効いたペペロンチーノを頼み食べた。
しかし、財布がないことに気付いた。
トイレの場所を聞いて外にあったらトイレに行く振りをして逃げようと思い、店員にトイレはどこですか?と聞いたら、
『店の外に出て角を曲がったところです。』
と言われたので、トイレに行って来ます、といい、店を出てすぐに逃げた。
しかし、勘定がまだだったので逃げたのに気付いた店主が金を払えと追い掛けて来たので、甲は店主を殴って倒し、逃げた。
後日街で店主にすれ違い、店主に金を払えと詰め寄られたためまた殴って逃げた。
甲の罪責は?
検討すべき罪責
・2項詐欺罪
・2項強盗罪
・暴行罪
2項詐欺罪
甲はパスタのお代を払わずに逃げるつもりで店員にトイレの場所を聞き、トイレに行ってきますと言っている。
トイレに行く振りをして逃げようとしている点で欺く行為があり、店員はトイレに行きたいのだと錯誤に陥り、トイレの場所を教え甲に行かせているという処分がある。
しかし、店員には、甲に支払いを免れさせるための処分をしていたとはいえないが、このような場合に処分意思が必要か。
詐欺罪は錯誤に陥った被害者が処分行為をするものであり、この点において瑕疵ある意思に基づく処分を行っている。
そして、欺く行為が行為者の債務を免れるためになされており、結果的に債務が免除される結果となる処分行為があれば、それだけで瑕疵ある処分意思であり足りるといえ、その処分を債務者に対して免除させることまでの意識は必要とはいえないと考える。
よって、債務免除のための処分意思までは必要ではなく、客観的に処分行為を行えば債務者が債務を免除されることになれば、錯誤に基づいた処分といえる。
本件は、トイレに行かせていることによって、結果的に債務者に債務が免除されるきっかけを与えている処分行為であるといえる。
もっとも、店主が気付いており債務が免除されるに至っていないため、2項詐欺未遂罪が成立するにとどまる。
2項強盗罪
店主に金を払えと言われており、これを免れるために暴行を加えている。
店主は倒されているのであり、甲の暴行によって店主は反抗抑圧されているため、強盗罪の暴行に当たる。
そして、飲食店での出来事であり、ここで逃げられると店主が後日甲に会うことはまず考えにくいため、債権者たる店主の債権の行使が不可能になる確率が高く、あるいは著しく困難になる。
よって、逃げた時点で債務の支払いが免れたといえ、2項強盗罪が成立する。
暴行罪
後日、甲はたまたま店主と町ですれ違い、店主から代金を請求されている。甲は代金を支払っておらず債務は依然存在する。
そして、甲は債務の支払いを免れる目的で暴行を加えて店主は倒れていることから、店主は反抗抑圧されており、その後甲は逃げたため債務を免れたといえ、暴行罪ではなく、2項強盗罪が成立する。
ここで、先に2項強盗罪が成立したのに、さらに2項強盗罪が成立するのは、同じ財産に対する罪であり二重評価になるとも思えるが、後の暴行は先の暴行とは時間的場所的接着性もなく別個独立した犯罪と考えるべきであり、同一の財産に向けられてはいるが同一に評価できず、2度の2項強盗罪と評価すべきである。財産的価値は一つしか無い点は、量刑で考慮すべきと考える。
もっとも、先の2項詐欺未遂と2項強盗罪とは、時間的場所的接近があること、同一の財産に対して向けられていることから包括一罪と考え、後の2項強盗罪とは併合罪の関係になる。
※2項詐欺罪は処分意思必要説なら犯罪不成立です。
※全部を2項強盗罪の包括一罪とする考えもあると思います。しかし、それは時間的場所的近接性がなく、なぜ別個の犯罪と構成しないのか、財産的価値が同一であれば、別の日に何度暴行をしても一罪になるのかを説明しないといけないと思います。
甲はパスタ屋に入った。
好物のニンニクの効いたペペロンチーノを頼み食べた。
しかし、財布がないことに気付いた。
トイレの場所を聞いて外にあったらトイレに行く振りをして逃げようと思い、店員にトイレはどこですか?と聞いたら、
『店の外に出て角を曲がったところです。』
と言われたので、トイレに行って来ます、といい、店を出てすぐに逃げた。
しかし、勘定がまだだったので逃げたのに気付いた店主が金を払えと追い掛けて来たので、甲は店主を殴って倒し、逃げた。
後日街で店主にすれ違い、店主に金を払えと詰め寄られたためまた殴って逃げた。
甲の罪責は?
検討すべき罪責
・2項詐欺罪
・2項強盗罪
・暴行罪
2項詐欺罪
甲はパスタのお代を払わずに逃げるつもりで店員にトイレの場所を聞き、トイレに行ってきますと言っている。
トイレに行く振りをして逃げようとしている点で欺く行為があり、店員はトイレに行きたいのだと錯誤に陥り、トイレの場所を教え甲に行かせているという処分がある。
しかし、店員には、甲に支払いを免れさせるための処分をしていたとはいえないが、このような場合に処分意思が必要か。
詐欺罪は錯誤に陥った被害者が処分行為をするものであり、この点において瑕疵ある意思に基づく処分を行っている。
そして、欺く行為が行為者の債務を免れるためになされており、結果的に債務が免除される結果となる処分行為があれば、それだけで瑕疵ある処分意思であり足りるといえ、その処分を債務者に対して免除させることまでの意識は必要とはいえないと考える。
よって、債務免除のための処分意思までは必要ではなく、客観的に処分行為を行えば債務者が債務を免除されることになれば、錯誤に基づいた処分といえる。
本件は、トイレに行かせていることによって、結果的に債務者に債務が免除されるきっかけを与えている処分行為であるといえる。
もっとも、店主が気付いており債務が免除されるに至っていないため、2項詐欺未遂罪が成立するにとどまる。
2項強盗罪
店主に金を払えと言われており、これを免れるために暴行を加えている。
店主は倒されているのであり、甲の暴行によって店主は反抗抑圧されているため、強盗罪の暴行に当たる。
そして、飲食店での出来事であり、ここで逃げられると店主が後日甲に会うことはまず考えにくいため、債権者たる店主の債権の行使が不可能になる確率が高く、あるいは著しく困難になる。
よって、逃げた時点で債務の支払いが免れたといえ、2項強盗罪が成立する。
暴行罪
後日、甲はたまたま店主と町ですれ違い、店主から代金を請求されている。甲は代金を支払っておらず債務は依然存在する。
そして、甲は債務の支払いを免れる目的で暴行を加えて店主は倒れていることから、店主は反抗抑圧されており、その後甲は逃げたため債務を免れたといえ、暴行罪ではなく、2項強盗罪が成立する。
ここで、先に2項強盗罪が成立したのに、さらに2項強盗罪が成立するのは、同じ財産に対する罪であり二重評価になるとも思えるが、後の暴行は先の暴行とは時間的場所的接着性もなく別個独立した犯罪と考えるべきであり、同一の財産に向けられてはいるが同一に評価できず、2度の2項強盗罪と評価すべきである。財産的価値は一つしか無い点は、量刑で考慮すべきと考える。
もっとも、先の2項詐欺未遂と2項強盗罪とは、時間的場所的接近があること、同一の財産に対して向けられていることから包括一罪と考え、後の2項強盗罪とは併合罪の関係になる。
※2項詐欺罪は処分意思必要説なら犯罪不成立です。
※全部を2項強盗罪の包括一罪とする考えもあると思います。しかし、それは時間的場所的近接性がなく、なぜ別個の犯罪と構成しないのか、財産的価値が同一であれば、別の日に何度暴行をしても一罪になるのかを説明しないといけないと思います。
ばぶちさんは今年惜しくも合格を逃されましたが、
来年の合格に最も近い1人であることは、
予備試験合格、今年の成績から推察されます。
本当に参考になりました。
自分もばぶちさんに追いつけるように精進します。
悔しさをバネにして、絶対負けないように精進します。
最近常に思っていることは、理解したと思っていても実は勘違いがたくさんあるのでは?と思うことです。
問題に対して考えることを忘れることが一番怖いですし。
この問題知っているから~と飛びつくと論理飛躍になる危険が必ずあると本試験では身を持って体験しました。
お互い頑張りましょう!!