ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

平成23年度予備試験論文再現(行政法)

2011年11月14日 22時54分06秒 | 行政法
第1 設問1について
1 本件不同意決定は抗告訴訟の対象たる処分(行政法3条2項)に当たるか。
2 「処分」は、法的安定性の要請、及び取消訴訟により取り消されるまで公定力(25条1項)が認められるので、このような取消訴訟の対象とすべき「処分」とは、公権力の主体たる国又は公共団体の行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、又は範囲を確定することが法律上認められていることをいうと考える。
  そして、これに当たるかどうかは、具体的に、①公権力性があるか、②直接法効果性があるか、という観点から判断すると考える。
3(1)①について
  本件処分は、乙町長が行政庁として行っているので、公権力性は認められる。
 (2)②について
  本件不同意がなくても、建築確認がある以上、Aは建築を開始できる。
  しかし、不同意のまま行うことは、本件条例7条1項から新築等の中止勧告、命令を受け、さらにこれに従わない場合には本件条例8条により公表をされるおそれがある。
  このような中止命令、公表という処分を受けることは、民間企業であるAにとっては、本件条例において罰則規定がないとしても信用を失う著しく不利益を受けることになる。
  また、不同意に処分性を認めなければ、このまま建築を続け命令、公表がされるのを待って初めて取消訴訟を提起することになるので、これは非常に不安定な地位に立たされることになる。
  よって、このような地位に立たされるという直接法効果性が認められるため、②を満たす。
4 以上から、本件不同意決定は抗告訴訟の処分に当たる。

第2 設問2について
1 Aは不同意決定の①取消訴訟(行政法3条2項)を提起し、②同意決定を義務付ける訴訟を併合提起し(3条6項2号、37条の3第1項2号)、さらに③中止命令、公表という処分を差し止める訴訟(3条7項2号、37条の4第1項)を提起すべきである。
2 取消訴訟について
 (1) 処分性は認められる。
 (2) Aは申請をした本人であり原告適格が認められる(9条1項)。
 (3) 被告は乙町長が属する乙町である(11条1項1号)。
 (4) 出訴期間は、知ったときから6カ月であるが(14条1項)、本件不同意決定の通知は2011年2月18日に行われており、2011年8月18日までに行えばよく、現在は2011年7月上旬であり認められる。
 (5) 本件不同意決定の処分があり、建築を開始すれば中止命令などがなされるため、訴えの利益もある。
 (6) さらに、乙町を管轄する地方裁判所へ訴えてきすれば満たす(12条1項)。
 (7) 以上から、不同意決定の取消訴訟は認められる。
2 Aはさらに、同意決定という「処分」を義務付ける訴えを提起するべきである。
 (1) Aは申請者であり原告適格を満たす(37条の3第2項)。
 (2) 取消訴訟との併合提起をしており認められる(同3行2号)。
 (3) 他の被告適格や出訴期間等については、取消訴訟と同じであり認められる。
3 Aはさらに、建築を開始するために、中止命令、公表がされないように差し止めの訴え(37条の4第1項)を提起すべきである。
 (1) 「重大な損害を生じるおそれ」ある場合に限り認められる(37条の4第1項)。
    これは、本来行政側の処分を、裁判所が強制的に停止させるものであるため、必要性がなければ認められないことを規定したものと考える。そこで、金銭賠償による保障を甘受すべきでなく、金銭賠償では償えない損害が生じるおそれがあるかどうかにより判断すべきである。
    本件において、中止命令、公表がなされると前述のように民間企業たるAにとっては取り返しのつかないものであり、金銭賠償では償えない損害となる。
    よって、重大な損害が生じするおそれがあるといえる。
 (2) Aは申請者であり、建築を開始しようとしている者であるから法律上の利益があり、同3項を満たす。
 (3) 以上から、差し止めの訴えは認められる。
4 したがって、Aは①②③の訴えを提起すべきである。

以上


自己評価 B
評価 A


感想
処分性の判断において、少し薄いと思います。
また、問題は、乙町長の同意を得るためとあるのに、差し止め訴訟を書いたのは問いに答えていませんので、減点のおそれがあります。問題を読んでいないと怒られますね。
それ以外は一応の水準は満たしていると思いますが、憲法との兼ね合いから中間ぐらいの成績だと思いました。
しかし、蛇足は採点されない無害的記載事項が証明されました。

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