片面的共同正犯について疑問が湧きました。
もしかして簡単な問題なのかな?
問題
Aが甲を殺害しようと拳銃で狙っていた。
そこに甲に恨みを持つBもAが狙っていることを遠くから知って、同様に甲を拳銃で狙った。
AとB二人が同時に発砲し、甲は死亡したが、どちらの弾丸が当たったかは弾丸が潰れて不明であった。
AはBが狙っていることは知らなかったが、BはAが狙っているのを遠くから知っていた。
疑問
この時、ABどちらの弾丸が甲に当たったか分からないため、因果関係が不明であり、ABともに殺人罪の単独犯は成立しない。
しかし、AB間に意思の連絡無く、片面的共同正犯も否定。
とすると、ABには殺人未遂罪の単独正犯がそれぞれ成立し、甲死亡結果はどちらにも帰責できない。
で終わりなのかなぁ。
何かしっくりこないなぁと。
もしかして簡単な問題なのかな?
問題
Aが甲を殺害しようと拳銃で狙っていた。
そこに甲に恨みを持つBもAが狙っていることを遠くから知って、同様に甲を拳銃で狙った。
AとB二人が同時に発砲し、甲は死亡したが、どちらの弾丸が当たったかは弾丸が潰れて不明であった。
AはBが狙っていることは知らなかったが、BはAが狙っているのを遠くから知っていた。
疑問
この時、ABどちらの弾丸が甲に当たったか分からないため、因果関係が不明であり、ABともに殺人罪の単独犯は成立しない。
しかし、AB間に意思の連絡無く、片面的共同正犯も否定。
とすると、ABには殺人未遂罪の単独正犯がそれぞれ成立し、甲死亡結果はどちらにも帰責できない。
で終わりなのかなぁ。
何かしっくりこないなぁと。
私も負けずについていこうと思います。
さて、今日の疑問ですが、私なりに以下のように考えてみました。
XとYが意思の連絡なく、互いに致死量の毒薬を飲ませ、甲が死亡した場合には、XとYそれぞれに条件関係が認められるはずです。
ところが、本問の場合、AにもBにも条件関係が認められないのではないでしょうか。
何故かというと、「Aの行為がなければBの行為により甲が死亡した」あるいは、「Bの行為がなければAの行為により甲が死亡した」とはいえないからです。
毒薬の場合の事例では、X.Yいずれかの行為がなくても他方の行為により、甲は死亡したと認められるのと状況が異なると思われます。
自分の推論でしかありませんが、間違ってますでしょうか。
コメントありがとうございます。
おっしゃるように、私が作った事案では、A又はBの行為と甲死亡結果の条件関係が認められず、因果関係が否定されてしまいます。
やはり、甲が死亡した結果はABどちらにも帰責できないんですよね。
結局どちらも殺人未遂罪しか成立しないですよね。人一人死んでいるのに~。
となると、片面的共同正犯を例外的に認める必要があるのかもしれませんが、分かりません。
下記は毒の例ですが、銃の場合も当てはまると思います。
---------------------S先生の論証集より
例 XYが(意思の連絡なく)Aを殺そうと一本のウイスキーに致死量の毒を入れ,これを飲んだAが死亡した場合
XYの行為とAの死の結果との間に因果関係が認められるか。因果関係を認めるには,その前提として,行為と結果との間に条件関係がなければならない。ここに条件関係は,「当該行為なければ結果が発生しなかった」という関係のことを指す。
しかし,本件では,Xの行為がなくてもAは死亡したといえるし,Yの行為がなくてもAは死亡したともいえる。このように考えると,本問XYそれぞれの行為と死の結果との間には条件関係がないことになりそうである。
そこで,条件関係の公式を修正し,いくつかの行為のうち,すべての場合を除けば結果が発生しない場合,すべての条件につき条件関係を認めるとすべきである。
このように解すれば,XY双方の行為を除けば結果が発生しないから,条件関係は認められ,妥当な結論を導きうる。
検討していただいてありがとうございます!!
条件関係修正の場合には、前提条件としてXの行為がなくてもYの行為によって結果が発生する必要があります。
しかし、検討事例の場合、Aの行為がなくてもBの行為によって結果が発生するとはいえませんので、条件関係修正の関係とはいえません。
∵ABが発砲した弾が両方当たっているわけではないので。
#もしかして、問題の書き方が悪く、勘違いされていたかもしれません。
#ABのどちらの弾が当たったかは不明であり、一方の弾は外れていたという前提です。
#分かりにくくてスイマセン
ちゃんと読めば「どちらの弾丸が当たったかは不明」って書いてあったのに、勝手に両方当たったと勘違いしてました。
こういう早とちりは、本番ではやっちゃいけないですね。大変失礼しました。
仰るとおり、どちらか一方の弾しか当たっていない場合は、どちらかの実行行為は既遂に達していないわけですから、やはり共に未遂しか問えないですね。
そこで、片面的共同正犯の検討ですが、ふと思ったのですが、事案をよく読むと(反省してよく読みました)Bには共同実行の意思はないようにも思えたのですが(ただAが狙っているのを知っていたというだけ。そしたら単なる同時犯ですね)、もし共同実行の意思があれば、行為共同説からは、共同実行の意思が一方にあれば片面的共同正犯が認められるようです。
何のサイトかよくわかりませんがたまたま見つけたページです。(3.片面的共同正犯参照)
→ http://homepage2.nifty.com/and-/barexam/kyouhan2%5B1%5D.txt
またまた変なことを言ってたらごめんなさい。
しかし刑法って面白いですね。
再コメントありがとうございます。
自分が検討した問題文は読み方によっては同時犯にも見えますね。
また、共同実行の意思があれば、行為共同説であれば確かに認められると思います。
しかし、行為共同説は通説でなく、自説でもないので、一般的な実質的構成要件の重なり合いがある限度で認められる、部分的犯罪共同説の場合にどうなのかなぁと思って書いてみました。
行為共同説は共同正犯の範囲が広がりすぎること、共同者間で犯罪がバラバラになること、条文の文言に素直でないなどの批判が上げられるので、採ってません。
#もちろん、反対に犯罪共同説への批判もありますよね。
また、共同正犯における一部実行全部責任の根拠は、行為者の共同実行の意思の下、行為を相互補充し合って犯罪の実現を容易にしたからと解します。
とすると、共同実行の意思と行為が必要であると考えるため、犯罪共同説の一つである部分的犯罪共同説が妥当だと考えます。
ですから、部分的犯罪共同説を採り、片面的共同正犯が認められない以上、殺意があって、実行行為があって結果も発生しているのに、どちらにも殺人罪を問えないのは不当だなぁと思いながらも、説得的見解がないなぁと思っていた次第でした
殺人未遂でも仕方がないなぁと思うのですが、検討事例の場合は、BはAが狙っているのを知っており、
便乗して自分も発砲しているので、さらに悪質ですが、それでもやっぱり
殺人未遂犯なのかなぁってことなのです。
どうもありがとうございました。とても勉強になりました。
刑法ってほんと難しいですね。感覚的にはある罪が成立すべきだと思っても、法律でそこに導くことができない場合認定できない。実際、現実に起こった事件でも不条理を感じることが多いです。
どうもありがとうございました
こちらこそ、良い勉強になりました。
確かに刑法は一般的感覚的に罪になると思っても、法律構成で当たらないということが
多々あると思います。
ただ、思っている犯罪よりも軽い犯罪が成立する場合は、量刑の範囲が存在しますし、
今回の事例の場合、未遂犯が成立するなら、未遂は任意的減免ですので、
減免しないことも可能であり、量刑の範囲において考慮すべきと付け加えることで、
妥当な結論を出したいという雰囲気が伝わるような気がしました。