ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

刑法平成4年度第1問

2006年07月12日 00時34分29秒 | 刑法
朝は暑くて夜涼しいです。真夏という気分がまだまだしません。
しなくて良いんですけどね


スタ100と異なるので書いておきます。スタ100は乙は殺人未遂罪です。

平成4年度第1問

「甲は、乙に、Aを殺害すれば100万円の報酬を与えると約束した。そこで、乙がAを殺そうとして日本刀で切り付けたところ、Aは、身をかわしたため、通常であれば二週間で治る程度の創傷を負うにとどまったが、血友病であったため、出血が止まらず、死亡するに至った。甲は、Aが血友病であることを知っていたが、乙は知らなかった。甲および乙の罪責について、自説を述べ、併せて反対説を批判せよ。」

答案
乙の罪責
 乙はAに殺意を持って日本刀で切りつけ、結果Aは死亡→殺人罪(199条)か?
 ↓ここで
 乙のきりつけた行為はAが血友病でなければ二週間の傷害
因果関係あるか?
 反対:条件説
 ×処罰範囲広すぎ
 思うに、因果関係は構成要件該当性の問題
構成要件は、社会通念に基づく違法・有責類型
 ↓よって
 条件関係を前提に、当該行為から当該結果発生が社会通念上相当といえるかどうかで判断
 ↓そして
 相当性の判断
 反対:客観説(行為時の客観的全事情+行為後の予見可能な事情を基に、行為後に客観的に判断)
 ×偶然的事情を含むべきでない
 ×処罰範囲が広すぎ
 偶然的事情を除外+行為者の認識した事情を考慮
 ↓よって
 行為時に一般人が認識しえた事情+行為者が認識していた事情を基に、行為時に一般人を基準に判断
 ↓あてはめ
 確かに、一般人も行為者もAの血友病認識ない
 ↓しかし
 乙の日本刀で切りつけた行為は殺人の実行行為で殺意もあり、乙の認識した因果経過と発生した因果経過が異なるのみ
因果関係の錯誤の問題
 ↓
 思うに、故意責任の本質は、犯罪事実を認識し、反対動機の形成があったにもかかわらず、あえて犯罪を実行した点に重い非難があること
 ↓そして
 犯罪事実は、構成要件として類型化
 ↓とすると
 行為者の認識した因果経過と発生した因果経過が構成要件の範囲内なら故意あり
 ↓よって
 乙の行為と結果との因果関係は遮断されず、殺人罪!

甲の罪責
 甲は、乙に殺人を依頼し、血友病も知っており、結果A死亡
→殺人の教唆依頼とAの血友病も知っており、乙の殺人の実行行為から結果A死亡は相当因果関係あり
 ↓よって
 殺人罪の教唆犯(61条1項)

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