ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

新株発行無効の訴え

2008年12月04日 23時08分05秒 | 商法
有利発行の際に、株主総会特別決議を欠いたら、無効原因になるかという有名論点があります。

この問題が日曜答練第4回に出たのですが、公告について全く触れていませんでした。おかしいなぁ。


第三者に対する有利発行であるのに、株主総会特別決議を経なかったのは、新株発行無効原因となるか?

828条1項2号は、無効原因の明文がない。

新株発行は、多数の利害関係人が発生する。すると、新株発行無効とすると、多数の利害関係人に影響を及ぼすことから、無効原因は限定して解すべき。

すなわち、重要な法令、定款違反の場合にのみ無効原因となる。

では、第三者に対する有利発行の場合、株主総会特別決議の欠缺は、無効原因となるか?

新株発行は、取締役会設置会社では、取締役会の権限であり、業務執行の一環としてなされる。
よって、新株発行は原則として株主の保護を図る必要はない。

さらに、株主の保護を図る必要のある有利発行か否かは、新株発行の資金調達の目的達成し得る限度であるかどうかから決するべき。

有利発行である場合に、株主総会特別決議が必要となる。

この趣旨は、株主の経済的利益の損失、持株比率の低下等の不利益を防止するため。

この場合、株主への通知、公告は不要であるが、通知、公告がなされていれば、株主には差し止めの機会があったのだから、保護不要。

株主の経済的損失は、423条、429条責任や新株取得者の差額払込責任によって保護される。

よって、通知・公告なく、株主総会特別決議を欠いた場合には無効原因になるが、通知・公告があれば、株主総会特別決議を欠いても無効原因にはならない。


このように書いたのですが、有利発行の効力を論じて下さいとコメントされました。

無効原因にならない。よって、通知・公告がなされた場合には、株主総会特別決議を欠いたとしても本件有利発行は有効である。
と書かないとダメだったのかな。