鉄血のオルフェンズ面白い@攻略の館

刀剣乱舞レベルカンスト

蒼穹のファフナー 小説

2005-01-07 | Weblog
10日発売と言いつつ既に都内+千葉の書店に山積み。



続編実現希望で2冊買ってみました。
返本の山ができるとマズイので
ささやかなファン活動…



とにかく出来がいいです。
いわゆる「やおい」表現はほとんどなし。
大変骨太な小説に仕上がっています。
それでいて純愛あり、ところどころに
「萌え」表現あり。
これを読んだ後にアニメ1~11話を見るのは…。


表紙・口絵・折込ピンナップとも平井久司さん。
表紙は一騎・総士・マークエルフ。
※アニメ彩色
口絵は
平井さん彩色の背中合わせ一騎&総士@アルヴィスver
折込ピンナップは一騎、甲洋、翔子、真矢、果林、総士
※全員アルヴィスver

ストーリーは2146年の「10月」※実際は翌年3月
からスタート。
フェストゥムとの戦闘開始から半年たち、翔子も
多くのパイロットも死亡した状態から語られます。
この時点では、
マークドライのパイロットもフェストゥムに同化され
甲洋に撃たれて死亡。
甲洋には「味方殺し」
一騎には「ごく潰しのエースパイロット」
(※一騎の機体損耗率は高いがその分敵を倒すこと
から親しみをこめてつけられた)
というあだ名が付けられています。

一騎は他のファフナーとペアを組むわけでなく
かつてペアの相手だった「羽佐間翔子」こと
「マークゼクス」の喪失後は一人で戦っています。
(この状態を『ローンドッグ』と言い、
パイロット個人の能力に偏るため
通常は採用されない戦闘方法)

そして仲間たちからも孤立しています。

一騎による回想は2146年「4月」※実際には9月
からスタート。
アニメ版1話の話ですが、大幅に変更されています。
(一例)
要咲良、近藤剣司、小楯衛という固有名詞はなし。
それぞれ「道場主の娘」などの表現に置き換え。

竜宮島の子供たちは全員「因子」により人工の
天才という設定。天才症候群(サヴァン・シンプトム)
と呼ばれます。この能力が顕現した者がファフナーの
パイロットとして選出されてきます。

例えば。
一騎は身体能力が異常に発達し、オリンピック全種目で
金が取れる。
打率8割。50メートル走5秒台、遠投は学校新記録。
でも本人は「シンクロも金とれるのか?」と総士に聞く
ぐらいに自覚がない。

そしてそんな一騎はシナジェティックスーツを
「よっこらしょ」と言いながら着ています。


甲洋はノーベル賞クラスの頭脳の持ち主。特に数学分野に秀でる。
歴史に残る物理学者か経済学者か兵器開発者になると言われる。
甲洋の成績と張るのは羽佐間翔子だけ。

真矢は観察力が発達し、物事を分類し、関連づける能力に秀でる。
末は冒険家か天才的な心理学者か哲学者か宗教教祖の素質。

羽佐間翔子は肝臓が奇形のため、しばしば身体的
激痛に襲われる(他の臓器は正常)
そのためか非人間的な耐久力を持ち、イメージへの
自己没入能力が高い。

など。

そしてアニメ1話で消失した蔵前果林。
小説版ではあくまでファフナーのテストパイロットです。
率直に言えば
「後の世代のための捨石」だったこと。さらに彼女も
それを自覚しつつ一騎をかばって死ぬ描写があります。

描写はシビアかつ容赦ないので覚悟して下さい。
キャラクターの性格もベースは同じですが
アニメ版よりずっとはっきりしています。

一番小説でありがたいのが
「何故このキャラクターはこの行動をとるか」
という性格設定や理由付け、説明がしっかり
あることですね。

例えばアニメだと
『1話で一騎に戦いを挑む剣司』
仲が悪いのか違うのか? 戦う理由が不明。
おかげで「?」な展開の連続。

これが小説では
『道場主の娘(要咲良)は自分より弱い男とは
付き合わないと宣言していた。
何の気なしに彼女を倒したのが一騎。
しかし二人は付き合うわけではなく咲良は
「いつか殺す」と一騎に宣戦布告。
そして咲良に想いを寄せる少年(剣司)が
一騎に戦いを挑むがあっさり負けた。
以後「一騎に勝って咲良にキスしてもらおう」
が島の間での賭け事になっているから』

ちゃんと因果関係の説明があるんですよね。

甲洋が親に愛されてなかった描写や、翔子が
母親を愛していたなど簡潔に描かれてます。
これが最初から描かれていたらなあ…。
アニメも全然違ったろうに。

一騎と翔子の純愛話が根底の小説ですが
その一方で総士と一騎の複雑な感情も。

最初の戦闘のあとで
「疲れ果てた一騎の肩を、
総士が優しく抱きとめるようなものだった」
や、鋭い蔵前が
「あなた、怖いのよ、皆城くん。
だから一騎くんに、そばにいて欲しいだけなのよ」
などなど。

翔子を守ろうと決意して守れなかった一騎が涙を
流したり、ファフナーに搭乗した一騎が破壊衝動を
感じ、それを見せてしまった総士への後ろめたさを
感じて自虐的になったりと感情描写は本当に丁寧です。

あとがきを読むと冲方さんは真っ白になってるので
続刊があるかは不明ですが続きはぜひ見たい所です。

そして一番笑ったのは翔子が一騎の肩にもたれて寝ぼけつつ
「お肉」とつぶやいて、じゅるっとよだれをすすった所でした。
お肉好きなんですね。