■月刊ZERO-SUMにて連載中
現在2巻まで刊行。4月25日3巻発売予定。
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施設育ちの実虎を、ずっと援助し続けてくれた謎の人物が里親になってくれる。
夢のような申し出にワクワクしながら訪れたそこは、人を援助することが
できる人物がすんでいるとは思えないほどボロボロのビルだった。
しかもそこは会社で、彼らは物流の仕事をしているという。
気が付かないうちに、そこの社員と呼ばれる実虎。
とまどう彼に更なる追い討ちが!
そこはただの物流の会社ではなく、持っていることで持ち主に影響を与え、
時には持ち主を化け物に変えてしまうような品物を扱う会社だった…。
理解できない世界に唖然とする実虎。唯一彼が心を許していたのは、
幼い頃から持っていたひとつの本。
それにはキリーという謎の生き物がついており彼を励ますのだった…。
実虎の新しい環境での生活は、一体どうなってしまうのか?
<一迅社WEB|月刊コミックZERO-SUM>
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久々に手にしたZERO-SUM本誌に掲載されていた10話(2巻収録)が衝撃的で、
そこから入った作品。「#000000」は、#RRGGBB形式で黒を表す色指定値。
なお、上記サイトでの作品解説では「キリー」となっているが、正確には「キリィ」。
伏生 実虎(ふき さねとら) をずっと支援し続け、里親として彼を引き取ったのは、
口が悪い若い青年、獅堂 鼎(しどう かなえ)だった。
リサイクルショップ、有限会社ラフワーカーズの社長でもある彼の元、中学生ながら社員として、
副社長で最年長の司馬 瑛秀(しば えいしゅう)、
実虎と同じく施設で育ち、獅堂に引き取られた紅一点、烏丸 寧(からすま ねい)、
そして、常に表情が硬めな年長組の暴走ストッパー 相坂 戌彦(おうさか いぬひこ)と共に
新生活をスタートさせた実虎は、今まで知らなかった「能力者」の世界に足を踏み入れていく。
作品のキーワードとなるのは、11年前に起きた東京大消失。
これにより、東京という都市とそこに居たほぼすべての大人の命が失われ、
生き残った子供達も、それまで自分を取り巻いていた環境および自分自身の記憶、
そして、それらを失ったという感覚すら喪失していた。
何を失ったかは知らなくとも、失ったものの大きさは知っている…
彼らはロストチルドレンと呼ばれる。
+ + +
登場人物の中では、マスコット的な存在のキリィと獅堂が魅力的。
実虎が昔から持っている手帳に住み着く小さな生物キリィは、実虎にとって
大切な友人であり、よき相談相手であり、いつでも自分を励ましてくれる存在。
また、実虎が危険な目にあった際には、その能力を駆使して彼を守ろうとする
頼れる相棒でもある。
2巻の、まさしく10話でその正体が明らかになるのだが、それになにより驚いた。
しかし、それを念頭に最初から読み返してみると、より彼の言葉の真意を感じられる。
2巻冒頭、寧を一喝するシーンなどは、特に彼の愛情が込められているのだと思う。
一方の獅堂は、寧に対しては割と率直に思っていることをぶつけたり、
保護者としての顔を見せたりする。司馬とは共に悪ノリしたり、戌彦ともそれなりに
認め合ったりしているようなのだが、何故か実虎には素直になれず、
一歩ひいて接してしまう不器用さを併せ持っている。
それでも作品を読み進めていくと、彼が実虎に対して深い愛情を持っていることを
窺わせる描写が増え、実虎を大切に想っていることが否が応でも伝わってくる。
しかしそれは、実虎にとっては大変に分かりにくい部分ではある。
また彼は、実虎が施設に居た頃、クリスマスなどには実虎だけでなく
施設の子供全員にプレゼントを贈るという気遣いをみせたり、
突き放したように接してしまった実虎のことをそっと窺う様子を見せるなど
優しく繊細な一面をも持っている。
獅堂は、顔の右側の半分が潰れており、前髪で常にその部分を隠しているが、
何時何処で何故その傷を負ったかは不明。
彼が、寧や実虎を引き取った経緯も明らかになって欲しい部分である。
特に付き合いが長いらしい司馬とは、互いのことをよく分かり合っている
感があるので、彼との馴れ初めも気になるところ。
11年前の事件には、ラフワーカーズのメンバーが関わっているのかな?
某所で同梱されていたペーパーには、留学経験があることなど
獅堂の経歴が細かく記載されていた。
飛び級していることから、頭のよい人物でもあることが窺える。
瞳の色がアイスブルーとのことなので、生粋の日本人ではない模様。
それにしても、身長172cmで体重50Kg前後って、華奢というより痩せ過ぎだと思うのだが;
絵は綺麗で、キャラ同士のやりとりも軽快で楽しい。
獅堂と司馬、そして獅堂と戌彦が、息の合った言動を見せるのがまた楽しいし、
寧に対してのみ時折諭すような口調になる獅堂も、見ていてよいなと思う。
# そういえば、前作『水の旋律』は、ストーリーに惹かれなかったため
数話見ただけで終わっているが、当時から絵は綺麗だったことを覚えている。
作品自体のテンポはよいのだが、11年前の描写が時折入るので、
若干目まぐるしさを感じるかもしれない。
話は、作りながら連載しているのかと勘繰る程度のブレが、若干あるように思える。
まだまだ謎も多いが、これからの展開を見守っていきたい。
巻末のオマケ漫画や、カバー下にこっそり連載されている『黒き花園(その)のアンチテーゼ』が
また面白く、これも密かな楽しみである。
『嬉しいことがあったら 心から喜ぶだけで良いんだ
それが 今お前が出来る一番の恩返しだ!』
―――――――――――――――――――――――――――
『オマエが勝手に無力だと思っているオマエ自身の能力が
たとえ 本当にこの場では無力なのだとしても
何故オマエは 何もしようとしない?』
現在2巻まで刊行。4月25日3巻発売予定。
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施設育ちの実虎を、ずっと援助し続けてくれた謎の人物が里親になってくれる。
夢のような申し出にワクワクしながら訪れたそこは、人を援助することが
できる人物がすんでいるとは思えないほどボロボロのビルだった。
しかもそこは会社で、彼らは物流の仕事をしているという。
気が付かないうちに、そこの社員と呼ばれる実虎。
とまどう彼に更なる追い討ちが!
そこはただの物流の会社ではなく、持っていることで持ち主に影響を与え、
時には持ち主を化け物に変えてしまうような品物を扱う会社だった…。
理解できない世界に唖然とする実虎。唯一彼が心を許していたのは、
幼い頃から持っていたひとつの本。
それにはキリーという謎の生き物がついており彼を励ますのだった…。
実虎の新しい環境での生活は、一体どうなってしまうのか?
<一迅社WEB|月刊コミックZERO-SUM>
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久々に手にしたZERO-SUM本誌に掲載されていた10話(2巻収録)が衝撃的で、
そこから入った作品。「#000000」は、#RRGGBB形式で黒を表す色指定値。
なお、上記サイトでの作品解説では「キリー」となっているが、正確には「キリィ」。
伏生 実虎(ふき さねとら) をずっと支援し続け、里親として彼を引き取ったのは、
口が悪い若い青年、獅堂 鼎(しどう かなえ)だった。
リサイクルショップ、有限会社ラフワーカーズの社長でもある彼の元、中学生ながら社員として、
副社長で最年長の司馬 瑛秀(しば えいしゅう)、
実虎と同じく施設で育ち、獅堂に引き取られた紅一点、烏丸 寧(からすま ねい)、
そして、常に表情が硬めな年長組の暴走ストッパー 相坂 戌彦(おうさか いぬひこ)と共に
新生活をスタートさせた実虎は、今まで知らなかった「能力者」の世界に足を踏み入れていく。
作品のキーワードとなるのは、11年前に起きた東京大消失。
これにより、東京という都市とそこに居たほぼすべての大人の命が失われ、
生き残った子供達も、それまで自分を取り巻いていた環境および自分自身の記憶、
そして、それらを失ったという感覚すら喪失していた。
何を失ったかは知らなくとも、失ったものの大きさは知っている…
彼らはロストチルドレンと呼ばれる。
+ + +
登場人物の中では、マスコット的な存在のキリィと獅堂が魅力的。
実虎が昔から持っている手帳に住み着く小さな生物キリィは、実虎にとって
大切な友人であり、よき相談相手であり、いつでも自分を励ましてくれる存在。
また、実虎が危険な目にあった際には、その能力を駆使して彼を守ろうとする
頼れる相棒でもある。
2巻の、まさしく10話でその正体が明らかになるのだが、それになにより驚いた。
しかし、それを念頭に最初から読み返してみると、より彼の言葉の真意を感じられる。
2巻冒頭、寧を一喝するシーンなどは、特に彼の愛情が込められているのだと思う。
一方の獅堂は、寧に対しては割と率直に思っていることをぶつけたり、
保護者としての顔を見せたりする。司馬とは共に悪ノリしたり、戌彦ともそれなりに
認め合ったりしているようなのだが、何故か実虎には素直になれず、
一歩ひいて接してしまう不器用さを併せ持っている。
それでも作品を読み進めていくと、彼が実虎に対して深い愛情を持っていることを
窺わせる描写が増え、実虎を大切に想っていることが否が応でも伝わってくる。
しかしそれは、実虎にとっては大変に分かりにくい部分ではある。
また彼は、実虎が施設に居た頃、クリスマスなどには実虎だけでなく
施設の子供全員にプレゼントを贈るという気遣いをみせたり、
突き放したように接してしまった実虎のことをそっと窺う様子を見せるなど
優しく繊細な一面をも持っている。
獅堂は、顔の右側の半分が潰れており、前髪で常にその部分を隠しているが、
何時何処で何故その傷を負ったかは不明。
彼が、寧や実虎を引き取った経緯も明らかになって欲しい部分である。
特に付き合いが長いらしい司馬とは、互いのことをよく分かり合っている
感があるので、彼との馴れ初めも気になるところ。
11年前の事件には、ラフワーカーズのメンバーが関わっているのかな?
某所で同梱されていたペーパーには、留学経験があることなど
獅堂の経歴が細かく記載されていた。
飛び級していることから、頭のよい人物でもあることが窺える。
瞳の色がアイスブルーとのことなので、生粋の日本人ではない模様。
それにしても、身長172cmで体重50Kg前後って、華奢というより痩せ過ぎだと思うのだが;
絵は綺麗で、キャラ同士のやりとりも軽快で楽しい。
獅堂と司馬、そして獅堂と戌彦が、息の合った言動を見せるのがまた楽しいし、
寧に対してのみ時折諭すような口調になる獅堂も、見ていてよいなと思う。
# そういえば、前作『水の旋律』は、ストーリーに惹かれなかったため
数話見ただけで終わっているが、当時から絵は綺麗だったことを覚えている。
作品自体のテンポはよいのだが、11年前の描写が時折入るので、
若干目まぐるしさを感じるかもしれない。
話は、作りながら連載しているのかと勘繰る程度のブレが、若干あるように思える。
まだまだ謎も多いが、これからの展開を見守っていきたい。
巻末のオマケ漫画や、カバー下にこっそり連載されている『黒き花園(その)のアンチテーゼ』が
また面白く、これも密かな楽しみである。
『嬉しいことがあったら 心から喜ぶだけで良いんだ
それが 今お前が出来る一番の恩返しだ!』
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『オマエが勝手に無力だと思っているオマエ自身の能力が
たとえ 本当にこの場では無力なのだとしても
何故オマエは 何もしようとしない?』