本土の在来種・ゴマダラチョウ。
こっちは中国から持ち込まれたとされる外来種・アカボシゴマダラ。
心無い人間の、放蝶という無分別な行為により、生態系への影響が懸念されています。
ゴマダラチョウもアカボシゴマダラも、幼虫の植樹はエノキ。
在来種のゴマダラチョウが駆逐される恐れがあります。
昨年はアカボシゴマダラの存在を確認するのがやっとだったのに、今年の夏はもう、毎日のように成虫を目撃します。
その進出、定着の速さは脅威です。
この間、アカボシゴマダラの幼虫・蛹を捕獲し、成虫にしてから標本に(作業中)する、
ゴマダラチョウの幼虫・蛹を保護し、成虫にして野に帰す、
という方針で動いてきたのですが。
ゴマダラチョウとアカボシゴマダラの幼虫・蛹・成虫の写真が揃ったので、比較など。
まずは幼虫の比較。
ゴマダラチョウの幼虫。
背中の突起は3対(この間見つけた幼虫は、みな突起がはっきりしません)。
腹の先の二本の突起は、ピースサインのように先が開いています。
「開いて」いるか、わかりづらい場合もあります。
その場合は、根元が離れているのがゴマダラチョウ。
アカボシゴマダラの幼虫。
背中の突起は4対で、3対目が大きい。
腹の先の二本の突起は、「カトちゃんペ」の指のように、(根元から)くっついていて、先が開きません。
オオムラサキの幼虫も、エノキを食樹とし、背中の突起が4対ですが、腹の先の二本の突起は開いています。
KONASUKEは頭悪いので、ピースだったら在来種、在来種だったらピースする、って覚えてます(笑)
んで、幼虫たちは、蛹になる前は・・・
いっぱい糞をします。
乾いていて、床に落ちると、カツ~ン、って音がします。
頻繁にフンの落ちる音が聞こえるようになったら、蛹になる時期が近いってことですね。
で、蛹の比較。
ゴマダラチョウの蛹。
KONASUKEの手元にあるもので26mm~30mm。
アカボシゴマダラの蛹。
同様に32mm~38mm。
こうして比べると、外見が違いますね。
アカボシゴマダラの方が、白っぽくて、細長い印象で、腹のギザギザが鋭い。
ゴマダラチョウよりアカボシゴマダラの方が大きい。
ゴマダラチョウの蛹を、腹側から見たところ。
同様にアカボシゴマダラ。
こうして観ると、腹側からでは、違いがわかりづらいね。
双方とも、横から観る印象より、意外と厚みがある。
でも、実際に撮影してみるとわかるけど、この角度にするのは無理がある。
コロコロ転がって、中々、この角度にはならない。
なるほど、野外では横だけ見せて、葉っぱになりすましているのだな。
羽化の際には・・・
このような液を排出する。
写真はアカボシゴマダラのもので、白っぽい黄緑色。
ゴマダラチョウでは未確認。
ツマグロヒョウモンやヒオドシチョウ、ジャコウアゲハではピンクだったけど。
これは蛹便とか羽化液とか言われるもの。
羽化の際、翅を広げるために、翅脈に体液を送り込むけど、余った液を便として排出するんだそうな。
さて、成虫の比較。
ゴマダラチョウ。
白と黒のシンプルなデザインで、まさに「ゴマダラ」。
アカボシゴマダラ。
後翅に赤い「ホシ」がある。
春型では、赤星を欠く、白化個体が出現する。
これが「中国産」だと言われるゆえんだとか。
大きさはアカボシゴマダラの方が大きい。
さて、7月に目撃・捕獲した、幼虫と蛹の数を比較してみると・・・
ゴマダラチョウ・・・3頭
アカボシゴマダラ・・・10頭
参考までに、野外において、アカボシゴマダラは多数の抜け殻を観ているが、ゴマダラチョウの抜け殻は確認できていない。
また、成虫についても、アカボシゴマダラが飛んでいるのは複数回確認(個体識別は不可)しているが、ゴマダラチョウの飛翔は確認していない。
やはり、アカボシゴマダラの方が優勢のようだ。
一方、明るい材料もある。
同じエノキの樹において、ゴマダラチョウの幼虫・蛹と、アカボシゴマダラの幼虫・蛹が同時に見られる例が、二例、あったことである。
これは、施設の裏の森が比較的人の手が入っておらず、ゴマダラチョウに不利な条件が少ないためと思われる。
アカボシゴマダラが優勢になりやすい要因の一つとして、冬越しの仕方が挙げられる。
ゴマダラチョウもアカボシゴマダラも、落ち葉の下などで、幼虫で冬を越す。
ゴマダラチョウの幼虫は比較的早く落ち葉の下に潜り、アカボシゴマダラの方が遅くまで樹の上に留まる。
人家や公園など人の管理が入る場所では、落ち葉が掃き集められ燃やされるので、幼虫も一緒に燃やされてしまう。
しかし、アカボシゴマダラは樹上に遅くまで留まるため、難を逃れる確率が高くなるという。
しかも、暖かい日なら、真冬でもより良い越冬場所を求めて動き回るというから驚きだ。
幸か不幸か、我が施設の裏の森は、落ち葉がほったらかしなので、ゴマダラチョウに不利には働かなかったようだ。
しかし、アカボシゴマダラが優勢になる理由は、他にもある。
①環境適応性が高い
②飛翔能力が高い
③年に3~4回、成虫になる(ゴマダラチョウは通常年2回)
つまり・・・
①’幼木をエサにしたり、人家の庭先とか公園とか、お構いなしで殖える。
②’遠くまで移動できるので、分布範囲の広がりが早い。
③’卵~羽化・産卵のサイクルが短いので、短期間で個体数を増やすことができる
う゛ぅ~ん!
頑張れ!
日本の在来種!
ゴマダラチョウ
分類:チョウ目タテハチョウ科コムラサキ亜科
前翅の長さ:35~45mm
オスよりメスの方が大きい
分布:北海道(南西部)、本州、四国、九州
平地~低山
筑波山塊では中腹以下
成虫の見られる時期:5~6,7~9の年2化(茨城県内)
温暖な地域・年には、第3化もありうる
エサ:成虫・・・樹液、腐った果実、獣糞など(花の蜜はほとんど吸わない)
幼虫・・・エノキ、エゾエノキ(飼育下ではクワノハエノキでも可)
参考:かたつむりの自然観撮記
茨城の昆虫生態図鑑(メイツ出版・刊)ほか
アカボシゴマダラ
分類:チョウ目タテハチョウ科タテハチョウ亜科
前翅の長さ:40~53mm
分布:本州(関東)、奄美
平地
成虫の見られる時期:6月~8月(茨城県内)
エサ:成虫・・・花の蜜、腐った果実、樹液
幼虫・・・エノキ、クワノハエノキ
参考:虫ナビ
茨城の昆虫生態図鑑(メイツ出版・刊)
こっちは中国から持ち込まれたとされる外来種・アカボシゴマダラ。
心無い人間の、放蝶という無分別な行為により、生態系への影響が懸念されています。
ゴマダラチョウもアカボシゴマダラも、幼虫の植樹はエノキ。
在来種のゴマダラチョウが駆逐される恐れがあります。
昨年はアカボシゴマダラの存在を確認するのがやっとだったのに、今年の夏はもう、毎日のように成虫を目撃します。
その進出、定着の速さは脅威です。
この間、アカボシゴマダラの幼虫・蛹を捕獲し、成虫にしてから標本に(作業中)する、
ゴマダラチョウの幼虫・蛹を保護し、成虫にして野に帰す、
という方針で動いてきたのですが。
ゴマダラチョウとアカボシゴマダラの幼虫・蛹・成虫の写真が揃ったので、比較など。
まずは幼虫の比較。
ゴマダラチョウの幼虫。
背中の突起は3対(この間見つけた幼虫は、みな突起がはっきりしません)。
腹の先の二本の突起は、ピースサインのように先が開いています。
「開いて」いるか、わかりづらい場合もあります。
その場合は、根元が離れているのがゴマダラチョウ。
アカボシゴマダラの幼虫。
背中の突起は4対で、3対目が大きい。
腹の先の二本の突起は、「カトちゃんペ」の指のように、(根元から)くっついていて、先が開きません。
オオムラサキの幼虫も、エノキを食樹とし、背中の突起が4対ですが、腹の先の二本の突起は開いています。
KONASUKEは頭悪いので、ピースだったら在来種、在来種だったらピースする、って覚えてます(笑)
んで、幼虫たちは、蛹になる前は・・・
いっぱい糞をします。
乾いていて、床に落ちると、カツ~ン、って音がします。
頻繁にフンの落ちる音が聞こえるようになったら、蛹になる時期が近いってことですね。
で、蛹の比較。
ゴマダラチョウの蛹。
KONASUKEの手元にあるもので26mm~30mm。
アカボシゴマダラの蛹。
同様に32mm~38mm。
こうして比べると、外見が違いますね。
アカボシゴマダラの方が、白っぽくて、細長い印象で、腹のギザギザが鋭い。
ゴマダラチョウよりアカボシゴマダラの方が大きい。
ゴマダラチョウの蛹を、腹側から見たところ。
同様にアカボシゴマダラ。
こうして観ると、腹側からでは、違いがわかりづらいね。
双方とも、横から観る印象より、意外と厚みがある。
でも、実際に撮影してみるとわかるけど、この角度にするのは無理がある。
コロコロ転がって、中々、この角度にはならない。
なるほど、野外では横だけ見せて、葉っぱになりすましているのだな。
羽化の際には・・・
このような液を排出する。
写真はアカボシゴマダラのもので、白っぽい黄緑色。
ゴマダラチョウでは未確認。
ツマグロヒョウモンやヒオドシチョウ、ジャコウアゲハではピンクだったけど。
これは蛹便とか羽化液とか言われるもの。
羽化の際、翅を広げるために、翅脈に体液を送り込むけど、余った液を便として排出するんだそうな。
さて、成虫の比較。
ゴマダラチョウ。
白と黒のシンプルなデザインで、まさに「ゴマダラ」。
アカボシゴマダラ。
後翅に赤い「ホシ」がある。
春型では、赤星を欠く、白化個体が出現する。
これが「中国産」だと言われるゆえんだとか。
大きさはアカボシゴマダラの方が大きい。
さて、7月に目撃・捕獲した、幼虫と蛹の数を比較してみると・・・
ゴマダラチョウ・・・3頭
アカボシゴマダラ・・・10頭
参考までに、野外において、アカボシゴマダラは多数の抜け殻を観ているが、ゴマダラチョウの抜け殻は確認できていない。
また、成虫についても、アカボシゴマダラが飛んでいるのは複数回確認(個体識別は不可)しているが、ゴマダラチョウの飛翔は確認していない。
やはり、アカボシゴマダラの方が優勢のようだ。
一方、明るい材料もある。
同じエノキの樹において、ゴマダラチョウの幼虫・蛹と、アカボシゴマダラの幼虫・蛹が同時に見られる例が、二例、あったことである。
これは、施設の裏の森が比較的人の手が入っておらず、ゴマダラチョウに不利な条件が少ないためと思われる。
アカボシゴマダラが優勢になりやすい要因の一つとして、冬越しの仕方が挙げられる。
ゴマダラチョウもアカボシゴマダラも、落ち葉の下などで、幼虫で冬を越す。
ゴマダラチョウの幼虫は比較的早く落ち葉の下に潜り、アカボシゴマダラの方が遅くまで樹の上に留まる。
人家や公園など人の管理が入る場所では、落ち葉が掃き集められ燃やされるので、幼虫も一緒に燃やされてしまう。
しかし、アカボシゴマダラは樹上に遅くまで留まるため、難を逃れる確率が高くなるという。
しかも、暖かい日なら、真冬でもより良い越冬場所を求めて動き回るというから驚きだ。
幸か不幸か、我が施設の裏の森は、落ち葉がほったらかしなので、ゴマダラチョウに不利には働かなかったようだ。
しかし、アカボシゴマダラが優勢になる理由は、他にもある。
①環境適応性が高い
②飛翔能力が高い
③年に3~4回、成虫になる(ゴマダラチョウは通常年2回)
つまり・・・
①’幼木をエサにしたり、人家の庭先とか公園とか、お構いなしで殖える。
②’遠くまで移動できるので、分布範囲の広がりが早い。
③’卵~羽化・産卵のサイクルが短いので、短期間で個体数を増やすことができる
う゛ぅ~ん!
頑張れ!
日本の在来種!
ゴマダラチョウ
分類:チョウ目タテハチョウ科コムラサキ亜科
前翅の長さ:35~45mm
オスよりメスの方が大きい
分布:北海道(南西部)、本州、四国、九州
平地~低山
筑波山塊では中腹以下
成虫の見られる時期:5~6,7~9の年2化(茨城県内)
温暖な地域・年には、第3化もありうる
エサ:成虫・・・樹液、腐った果実、獣糞など(花の蜜はほとんど吸わない)
幼虫・・・エノキ、エゾエノキ(飼育下ではクワノハエノキでも可)
参考:かたつむりの自然観撮記
茨城の昆虫生態図鑑(メイツ出版・刊)ほか
アカボシゴマダラ
分類:チョウ目タテハチョウ科タテハチョウ亜科
前翅の長さ:40~53mm
分布:本州(関東)、奄美
平地
成虫の見られる時期:6月~8月(茨城県内)
エサ:成虫・・・花の蜜、腐った果実、樹液
幼虫・・・エノキ、クワノハエノキ
参考:虫ナビ
茨城の昆虫生態図鑑(メイツ出版・刊)
喜んでいたら、息子から電話、特定外来生物と
駆除せよと、見た目はただの可愛い蝶です。
でも、特定外来生物はですよね。もう1匹サナギがいますが、星になってもらいます。
羽化した感激を有り難うです。
1匹 放蝶してしまいました。ごめんなさい。でも、命は命ですよね。
固有種頑張れですね。
神奈川県 大和市
蝶に罪はないんですがねぇ。
他所から生き物を持ち込むことの罪深さですね。
この記事を書いた時点では、ギリギリまだ特定外来生物に指定されていませんでしたが。
現在は移動も飼育も禁止されています。