自覚症状の現われから、治療入院、通院などで一年の月日はあっという間に過ぎて
いった。癌の場合、治療したから完治とは成りえず、一応の目安5年を過ぎれば
『寛解』となるらしい。願わくば癌因子どもを全部叩き潰してしまいたいが、残念ながら
今のところ叶うことではないから、取あえず5年生存率の枠内に潜り込むことが最大の
目標となる。私の場合、5年生存率は40%くらいと告げられていたから、あまり安心でき
る数値ではないが他人事のような顔をして、深刻に考えたことはない。心の奥底を覗
いてみると『絶対40%以内に入っている』このようなものが見えるのではないかと思う。
治療を終えても退治できない場合、癌因子どもなのか癌細胞なのかは別として、そい
つらと共生しながら黙らせたまま暮らせばいい訳だ。
誰かの言葉『癌をいい子にさせておいて寿命までいけば俺の勝ちだ』
身体と相談しながら、色々なことに興味を持ち没頭していくこともいいかもしれない、
何処か知らない所に出掛けて新しいものを見るのもいいだろう、新しい友人ができる
ことも・・・等々と楽しそうなことを連想すれば、そいつらを静かにさせられるかもしれな
い。暑い日は暑いなりに、寒い日は寒さに負けないよう、春・秋の穏やかさを満喫しな
がら自然の中で爺は『空元気』で頑張っていく。
【おまけ、タイ旅行】
2009年12月に術後の抗がん剤治療で退院、翌年6月、最初に計画していたタイに旅
行することになった。初めての岡山空港からの海外旅行でしかもここから空港へは自家
用車で行く。どのようなところに空港があるのか、どんな空港なのか気になり、天気のい
い日にドライブがてら出かけてみたりして、自分の体調の具合もチェックしてみた。
この頃は未だトイレ事情が不安定で、トイレに行く時間にある程度の規則性ができれば、
これ以上安心できることはない。国内なら大方の場所ならどこでもトイレは探せるが、初め
て行く国のトイレ事情は分からないから、出来る限り自己制御ができるようにしておきたか
った。そういう意味では4月に行った韓国は、明洞地区を中心にした移動だったからトイレ
事情はよく分かっていたので不安はなかった。今回、初めて行くタイのトイレ事情を調べ
てみると、有料の所が多いとあったから、それなら安心できると思った。つまり、それを稼ぎ
にしている人がいると言うことは、トイレの数もそこそこあると考えられるからだ。
また、市の中心地にはホテルやデパートも沢山あるから、そうした面からも心配しなくても
よかった。日本は梅雨前で多少なり冷えることもあるが、タイは南国だから僅かな滞在でも
メスを入れた身体には優しい気候だった。
この年は韓国、タイと2つの国に出掛け、翌年は2度目のアンコールワット、台湾、昨年はト
ルコとシンガポールとアクティブに動いている。動くことで元気になり、くよくよした心に喝
を入れ、更に元気になっていく、そうした一助になっていると思う。