R45演劇海道

文化の力で岩手沿岸の復興を願う。
演劇で国道45号線沿いの各街をつないでいきたいという願いを込めたブログ。

鉄鉱石の記憶⑫ ACT6 小川温泉(4)

2007-06-07 20:21:33 | インポート

ふわっと創と、店主が浮かび上がる。創が、目を開けると、そこは、元の鬱蒼とした景色の中だ。

店主  何を見てきた。

創   僕が何をしなければならないのか。

店主  辛い出来事だったか。

創   そうじゃないよ。昭和の想いを託されてきた。でも楽しい想いだったよ。

店主  そうか。この先は、辛い想いもあるかもしれない。それも受け止めてもらえるかな。

創   それが、僕の使命なら。

店主、小さくひとつうなづく。

店主  お前、昨日と違うな。

創   昨日と同じ人間なんていないよ。

店主  …やっぱり、お前なら託せそうだ。

創   何を?

店主  いや、俺たちが観られなかった未来を…。

創   未来を?

店主  そう。『カマイシ』の未来を…。

創   そんなに買い被らないで欲しいな。

店主  じゃあ、賭けてみるって云ったらどうだ。

創   それならいいや、はずれても良いんでしょう。

店主  そうだな。俺はあたるとみて、大博打をするつもりだ。

創   そこまで云われるとなぁ。僕は僕なんだし、僕以上のものにはなれないんだから。

店主  それに、12歳で気づくだけでも賭けてみる価値はある。

創   そうかな。

店主  …仙人峠に行くぞ。

創   引っ越して来たときに通った。あの、秘密基地のようなトンネルのところだね。

店主  いや、そのもっと上のところだ。鉱山があったところだ。

創   そこには何があるんだい。

店主  お前が持っている、その石の秘密が…。行こう。

創   はい。

 二人、鉱山の方角を見据えて歩き出す。

 暗  転