「縦横無尽」 フローレ21社長のコラム

花の仲卸フローレ21社長小池潔がつれづれに語ります 快調に更新中

蓬田やすひろ

2007-06-28 07:09:01 | Weblog
蓬田やすひろさんに初めて会ったのは今から26、7年も前だったと記憶している。
落語会を主催しているときで会の機関紙『寿限無』への投稿依頼だった。
蓬田さんの友人であった落語家の桂南治君と高円寺のマンションまで訪ねた。
快く引き受けてくれて帰り際に自分の描いた絵を私にくれた、
当時は『知る人ぞ知る』程度で幾つかの賞はとっていたがそれほどの売れっ子ではなかった。
しかしその才能は絵を書かせても字を書かせてもあふれ出て来るものがあり、
帰り道二人で「蓬さんは必ずこの世界でNO1になるよね」と話ながら帰った記憶がある。

1960年の毎日広告賞を受賞、イラストレータとして頭角を現していた。
彼が本格的に売れ出したのは藤沢周平の『橋ものがたり』装丁を書いてからである、
今では『平成の名絵師』と呼ばれるまでになった、今一番売れている時代小説佐伯泰英、平岩弓枝、鳥羽亮、荒崎一海、時代小説の装丁といえば蓬田やすひろと押しも押される存在になった。
個展も年に何度もデパートで開かれ、、20数年前に貰った一枚の絵は、いまでも大切に持っている、私のちょっとした自慢です。

蓬田さんは、絵りづくりにどのようなポリシーをお持ちですか?との問いに
「こころがけていることは、絵に品位があること、洒落ていること、美しいこと。そして、
作家の『思い』をたいせつにすること。小説家にはそれぞれの世界があり、
ものがたりに描かれている主人公にもそれぞれ独特の人物像があります。
小説家が創り上げてきたそうした世界やイメージを、絵が踏みにじってはならないのです」。

写真は藤沢周平の短編集『隠し剣秋風抄』
短編集『隠し剣孤影抄』

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