小浜逸郎・ことばの闘い

評論家をやっています。ジャンルは、思想・哲学・文学などが主ですが、時に応じて政治・社会・教育・音楽などを論じます。

『倫理の起源』15日発売!

2019年04月06日 21時19分44秒 | お知らせ


当ブログで、長年にわたって連載してきました『倫理の起源』が、4月20日にポット出版から刊行されます。

書店には15日より並ぶ予定です。
Amazonでは、すでに予約を受け付けています。

https://www.amazon.co.jp/%E5%80%AB%E7%90%86%E3%81%AE%E8%B5%B7%E6%BA%90-%E5%B0%8F%E6%B5%9C-%E9%80%B8%E9%83%8E/dp/486642009X/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E5%80%AB%E7%90%86%E3%81%AE%E8%B5%B7%E6%BA%90&qid=1554553556&s=gateway&sr=8-1

この著作は、倫理や道徳はどこからやってくるのかという問題について、プラトンに始まる西洋倫理学の発想を、根底から覆した作品です。

本著作の冒頭、「この本を手に取ってくださった皆さんへ」を、以下に引用します。

《長年かかって書き継いできた論考を、いま世に送ります。
 ただご覧のように、この本は少し分厚すぎるかもしれません。それに中身もそうわかりやすいものとは言えません。
 特に第二部の「西洋倫理学批判」の部分は、全体の45%を占めています。ここで扱われている思想家は、プラトン、カント、ニーチェ、J・S・ミルのたった四人です。
 著者がこの四人にこだわったのには、それなりに理由があります。それは、この四人が西洋という文化風土の中で、倫理や道徳の問題について彼らなりに考えつくしており、しかもこの四人の説くところにある連続性が認められるからです。
 とはいえ、とりわけプラトンに対する著者の批判的な執着は、自分で言うのもなんですが、異常といってもいいかもしれません。彼についての言及は全体の五分の一近くに及んでいます。そして彼の思想の核心に関する批判の部分は、繰り返しも多くなっています。
 しかし二千年以上も前にこの思想家が残した足跡は巨大という他はなく、「西洋の全哲学史はプラトンの注釈に過ぎない」という言葉もあるくらいですから、それは許していただくことにしましょう。
 ただ、読者の皆さんからすれば、うんざりして途中で投げ出したくなってしまうのではないかということを著者は恐れます。それで、西洋倫理学に格別の関心を持たない人は、プラトンの部分あるいは第二部全体を飛ばしていただいてもけっこうです。
 しかし、第三部では、和辻哲郎の『倫理学』を批判的に継承しながら、著者なりの倫理思想を展開していますので、ここはぜひ読んでください。ここを読んでいただくと、著者がなぜ西洋の倫理思想、とりわけプラトンのそれに執着したのかが、逆に照らし出される仕組みになっています。 
 それを読んでいただいた上で、第二部に取りかかっていただくのもいいかもしれません。》


なお、これを記念いたしまして、ジュンク堂池袋本店にて、トークショーを開催いたします。
要領は以下のとおりです。

●タイトル『倫理はどこからやってきたのか』
●内容:私たちが「善」や「道徳」と呼んでいるものは、いかなる理由によって根拠づけられているのか。『倫理の起源』の著者・小浜逸郎が解き明かします。
●日時:5月11日(土) 午後7:00開場 7:30開演
●会場:ジュンク堂池袋本店
*会費等については、追ってお知らせいたします。

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3 コメント

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楽しみです (がそ)
2019-04-07 06:25:08
こんにちは。『倫理の起源』の発売おめでとうございます。この時を心待ちにしておりました!
既に書店へ予約しており、手元へ届くのが待ち遠しいです。

以前、糖尿病のことなどをその著作の中で書かれていた頃、漠然とですが「もしかすると先生はもう、哲学方面のきちんとした著作は書かないのだろうか」と思ったことがありました。

しかし、逆にここ数年の躍動ぶりには感嘆しております。
それまで以上に広い視野に立つ、核心的な社会・政治批評。
また、各専門分野の思想家の著作内容をガッチリと捉えつつも、それに呑まれることなく批判的に継承しようとする強い意志を感じる哲学批評。
この二つの批評精神を両翼としつつも、その著作の内容はいたずらに難解晦渋なものではなく、ちゃんと一般人の読者にとって、ものを考える上での導きになるような分かりやすさが保たれています。
憧れます。

余計な期待ではありますが、先生の精力的な活動と旺盛な批評精神・哲学精神を支えている信条、思考法、読書法、執筆方法など、舞台裏にあたるものをいずれ読んでみたいものです。
以前、新書でときどき出されていたような「軽め」の評論・対話形式でもよし、あるいはフーコーの『知の考古学』のような、方法論でありながらそれ自体がひとつの思想書として成り立っているような重厚な書物でもよし…。
そんなことを想像するだけでも、わくわくします。

さらなるご活躍を、期待しております。
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がそさんへ (小浜逸郎)
2019-04-08 01:36:54
最大級のおほめのお言葉、まことにありがとうございます。
ほめ過ぎで、少々照れ臭くなりました。

これといった思考法や読書法はありませんが、ただ、自分の関心に触れて来る書物や情報は、数が少なくともよいから、できるだけていねいに摂取することを心掛けています。

子どものころから理屈屋で、不思議がり屋、くだらないことでも一度引っかかると、気になってしょうがないのですが、人にそれを話すと、あまり相手にされず、仕方がないので、自分で調べたり考えたりしてきました。
これは一種の習癖のようなものです。

あとは、自分が「普通」から外れたところがあるので、普通の生活者の感覚からなるべく学び取ろうとしてきた、というところがあるでしょうか。

これからもどうぞよろしく。
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統一地方選挙開票結果 (愛信)
2019-04-09 00:05:55

静岡県議会選挙三島市選挙区開票結果
https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Faixin.jp%2Faxbbs%2Fktr%2Fimage%2F19sok.png

https://www.yomiuri.co.jp/election/local/2019/
画面をクリックすると日本全国各選挙区の開票結果を見れます。

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