内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

「これから」から「ここから」へ

2023-09-23 19:45:55 | 哲学

 今日午前中に、論文を書き終えてしまった。締め切りまでまだ一週間ある。もちろんぎりぎりまで推敲を続ける。が、とにかく一応書き終えて、安堵している。と同時に、こんなことしか書けない自分が情けなくもある。でも、身の丈にあったことしか書けないのは致し方ないではないか。
 原稿の執筆自体は正味五日間。原稿の依頼を受けたのは一年以上前。その間、ずっと論文のことを気にかけ、準備もあれこれしたが、そのあれこれを報告するのが論文ではない。かといって、何か発見があったわけでもない。一端の議論ができたわけでもない。だったら何。この一年間の自問自答と煩悶の果てに逢着した私の「現在地」を示す。それが今回の論文であった。
 今から四十年ほど前、「君はこれからの人」だと、若干の揶揄も含めて、周囲から期待されていた。以来、ずっと「これからの人」のまま今日に至っている。期待だけされて、いや、期待だけさせておいて、その後がないのだ。
 一言負け惜しみ。この論文を書き終えて、「これから」の意味が変わった。「ここから」に変わった。より正確には、すべてがそこからはじまる「ここ」に、今、私は立っている、そう自覚できるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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