内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

知覚・行動・適応 ― ジルベール・シモンドンを読む(107)

2016-07-04 06:10:29 | 哲学

 昨日は、引用した一文 « Vivre consiste à être agent, milieu et élément d’individuation » について、これまでに理解したシモンドンの所説に基いて釈義を行った。
 今日は、その文の直後の一文を引用し、両文が提示している生命観の含意をシモンドンのテキストにより密着した仕方で祖述する。
 « Les conduites perceptives, actives adaptatives, sont des aspects de l’opération fondamentale et perpétuée d’individuation qui constitue la vie. » (214)
 知覚・行動・適応は、生命を構成する根本的かつ恒常化された個体化作用の諸相である。このような見方に立つとき、生体を考えるためには、生命を一連の転導的な個体化作用として、あるいは継起的な解決の連鎖として、考えなくてはならない。これらの解決の各々は、ある解決がそれ以後にもたらされる解決群の中に再統合され得るという関係にある。
 こう考えれば、生命がその全体において、次第次第に練り上げられていく種々の形の漸進的な構築として現れ、それらの形が次第次第により高度な問題群を内包しうるという生命的事実を説明することができる。
 生命を成り立たせている公準系は、進化を通じて複雑化し、より内容豊かになる。進化とは、厳密に言えば、完成に至る改良ではなくて、統合化過程である。つまり、より自律的になり、諸種の潜在性を蓄積し、様々な構造と機能を集積しながら準安定性を維持し続ける過程である。
 遅かれ早かれ有限の時間内に解体していく、つまり、老化と死が不可避である諸個体の生成としての個体化は、一般生成過程としての個体化の一側面に過ぎない。ある環境の中でその変化に応じての可変性を保持し続ける幼態成熟という性格をもっている一般生成過程は、より豊穣になっていく公準系をその内で発展させていく。