久しぶりに古巣のJAM産別会議に参加してきました。
JAMは今から10年前、ふたつの産別が合併して誕生しましたが、ひとつの強烈な思い出があります。
それは徹底した「賃金全数調査」を展開していたある地域の報告書です。
執行委員成り立ての頃、先輩から指示された仕事のひとつに全組合員の賃金プロット図作成がありました。
2000名を超える組合員の賃金表を人事から借りてきて、それをひとつづつ年齢別グラフに落とし込んでいく作業です。
学歴別・男女別に記号を変えてひたすら落とし込む作業は単調ですが、ある意味では面白い作業でした。
すべて終了すると前年度のプロット図との比較作業に入ります。
細かい説明は省きますが、最終的には時系列の賃金タリフができあがります。
『いいか吉岡、労働組合の仕事は要求しただけでは駄目なんだぞ。
その結果を確認しなければならない。
平均1万円のベア回答が出されたら、それをどう配分するか考えて、その結果はきちんと賃金に反映されているかまで確認しなくてはいけないよ。』
先輩の声が今でも耳に残っています。
そんな細かな作業もコンピューターの導入によってボタンひとつでできるようになりました。
しかし作業の奥にある大切な何かをいつしか失っていきました。
そんな折にみた「賃金全数調査表」にはびっくり仰天。
その地域の個人別賃金がすべてプロットされた報告書でした。
しかもデーター提出単組のプロット図まで掲載されています。
その報告書を見せてくれた方は、「これがあるからこそ賃金引き上げの地域共闘ができるんです」と胸を張って説明してくれました。
その「賃金全数調査」活動は、その後、JAMの運動として広がっていきました。
個々(単組)のプロット図開示まではいきませんが、それでも毎年30万人くらいの個人別賃金が集約されています。
今回配られた「JAM組合員賃金全数調査表」を見て、あらためて厳しい現実に目を見張りました。
2000年から2009年までの調査データーから、年齢別に所定内賃金を追いかけた結果表です。
25歳まではわずかながらの賃金上昇はみられますが、30歳以上はほとんど横ばい、ないしは1ポイント程度の減少です。
いろいろな見方があるかとは思いますが、結果的にこの10年間ベアがなかったということです。
毎年賃金交渉は行なわれていますが、有額回答されたところのデーターしか報告や統計にはあらわれてきません。
ゼロ回答や減額のところも網羅した賃金全数調査こそが、現実を写しだす鏡です。
連合静岡でも静岡県の賃金地図をつくろうと20万人のプロット図を目標として頑張っています。
まだまだ理解されずに苦慮していますが、なんとか前へ進んでいきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。