朝寝-昼酒-夜遊

日々感じたことを思いのままに書き散らすのみ。
※毎週土曜更新を目標にしています。

米研の弛緩

2009年12月03日 09時54分08秒 | 落語・講談・お笑い
火曜は午前中受講、午後から復習などをやって京都へ。
四条河原町からたらたら歩き、
久し振りの「米研」。
開演時点で、ほぼ満員。


「動物園」(優々):△

初めて見た。雀々の弟子らしい。
下手だが変なクセはまだなく、
大きな声を出そうとしているところは好感が持てる。
良い落研の1回生みたい。
上下が深い。師匠があまり見ていないのかな。

やけに長く感じたが、まあ仕方がないか。


「強情」(吉の丞):×+

初めて見た。吉朝の一番下の弟子らしい。
トチリ多過ぎ。真面目にやっているのか、と不満。
これでウケる客も良くない。もっと怒らないとダメになるだろう。
既にダメな人なのかも知れないが。

登場人物の科白で強情、強情言い過ぎ。
落語のあるべき姿としては、科白で説明するのではなく、
登場人物の会話や設定やらで描写していくべきだろう。
このネタの場合、ゼロは難しいかも知れないが、
もっと減らして、
例えば最後の方で「強情」と出した際に
客が共感して笑う、くらいのレベルが望ましいと思う。


「洋式トイレ物語」(雀喜):△-

マクラまあまあ。
この人の口調(妙な緩急は気になるが)が割と内容に合った。

ネタに入ると、やけに登場人物が後から出てきたり、
結局間歇泉に入ったのか分からなかったり、
散漫なネタだと感じた。
いろいろ設定を振りまくが回収しない。
自作かな。小佐田定雄には(良くも悪くも)作れない類の話ではある。
本人は楽しく作っているのだろう。


「鷺とり」(佐ん吉):△+

ここまできて、やっとまともなものに当たった。
マクラはコンクールの話。正直な感情が面白い。

ネタは、特にウケを取ろうと強く押す訳ではないが、
テンポ良く進め、強弱のつけ方も考えられていて
よくウケていた。
ネタの面白さを素直に伝えている感じ。

後半少し息切れか。
にわかを入れて欲しかった。


「公家大根」(九雀):△+

老けた。少し声がかすれ気味。
早口で間を取らず喋るのでしんどい。
昔はもう少しゆっくり喋っていた気がするのだが。

ネタは江戸時代のものを復活させたものらしい。
おそらく、小佐田定雄の手が入っていると思われる。
一度本筋を見ておきたいな。
そこから考え直すと、また違うネタが作れるかも知れない。
設定そのものは奇妙で面白いが、
最終的には数多の小佐田擬古典新作と似た感じがする。


「みかん屋」(出丸):△+

相変わらず若い。45歳には見えんな。
マクラはその辺りもいじりつつ、文化勲章話など。

少し声がかすれ気味。
手慣れたネタで安心して聞ける。
それでもマンネリと感じずに済んだのは、
この人の口調が相変わらずおさまらず、
登場人物の気持ちで喋っているからだろう。


「除夜の雪」(米二):△

これも妙に早口に感じた。
大晦日のお寺でお坊さんが喋っている、
落ち着いた雰囲気がある方が良いと思う。

御寮人さんは亡くなっている人なので、
その雰囲気をハラに持って喋る方が良い。
科白などに出す必要はないが。

全体の運びや弟弟子の科白の繰り返しなどでウケはとっていたが、
そこをポイントにしたいならば
別に「除夜の雪」である必要はないだろう。
何故このネタを演るのか、よく分からん。
雪の寺、幽霊、といったものを語りたいのだろうと想像するのだが、
それならば違う重点の置き方があると思う。


「ちしゃ医者」(宗助):△

米朝ってこのネタ演っていたっけ?

全体に長い。インパクトのある科白が埋没していた感じがする。
夜の雰囲気はまあまあ出ていたかな。

駕籠を置いていかれたときに
医者について独り語る場面が長い。
枝雀より長いのではなかろうか。
同じような科白の繰り返しもあったし、
あまり繰れていなかったのかも知れない。
ここで「情」が出過ぎて嫌い。
科白に出すものではなく、
腹に持っていて全体を進めれば良い内容だと思う。

その後は淡々と進めていった感じ。
オチ前少しごちゃっとした。


中入なし8席は疲れた。

米朝が見なくなって長いだろうが、
以前の厳しさ・きっちりしたところが弱くなっていると思う。
開演前に楽屋での喋り声が聞こえるとか、
昔はあり得なかったことでは?

久し振りの「米研」だったが、
客が甘くなっていることも含めて、
いろいろ不安を感じた。
まあ、この落語会がなくなったところで、
私には別に関係ない話だけどね。
コメント (3)
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