朝寝-昼酒-夜遊

日々感じたことを思いのままに書き散らすのみ。
※毎週土曜更新を目標にしています。

通し狂言 摂州合邦辻

2007年11月18日 20時46分00秒 | 歌舞伎・文楽
PASMOに入るに際して、
京王パスポートカードに入ったのだが、
そこからの優待割引(っても1割引だが)で国立劇場に行ってきた。

新宿へ行くと、やたらと警官が立っている。
何かのWebラジオで「男の一人歩きが職質される」てなことを言っていたので、
時間をつぶされてしまうのかと心配していたが杞憂だった。

赤坂見附から歩いた。
お濠に高速道路の橋脚が立っているのは、不敬罪に当たるんじゃないか、
キチガイ知事は大きなことは敵に回さずに
弱いものイジメしかしないから、放置するんだろうな、
なんて下らないことを考えながら国立劇場へ。

1等はどうも合わない。「観劇する」気持ちになってしまう。
普段は上から、「参加している」気持ちで見ることが多いので、
それに比べて芝居に入り込めない。
慣れの問題ではあるのだろうが。

11時半開演。

「合邦庵室の場」が有名だが、
実はそれも含めて見るのは初めて。

部分部分で光るところもあるが、全体にはよく分からない、
というのが素朴な感想。

「通し狂言」の意味は、有名な場面の背景になっている場も上演することで、
その意味を新たに捉え直したり、深く感動できることにあると思うのだが、
その意義はあまり深く感じられなかった。

序幕の「住吉社前松原の場」は意義があると思う。
ここでの鮑に入れた毒酒が、大詰めの「同じ器で年月揃った女の血を飲む」ことに
つながっていく。
でも、基本的に私、藤十郎ってそんなに好きじゃないんだな。
息を吸う音・漏れる音が生理的に合わない。

二幕目はよく分からない。
秀太郎のこってりとした雰囲気が良かった。
それと、愛之助が仁左衛門そっくり。化粧の具合・声の感じなど。
短くまとまっていた。ただ、後につながるか、というとそうではない。
場面としては面白かったけどね。

三幕目は天王寺界隈。
我當は上手だとは思わないが、それなりの雰囲気を出していた。

大詰が合邦庵室の場。
結局、玉手御前の気持として
「俊徳丸だけでなく、悪役の次郎丸も助けたい」前提があった、という
ことなんだろう。
確かに、その理屈からいくと、玉手御前のやったことは筋が通るのだろう。
(そうしないと、最初から毒酒なんか呑ませる必要はないだろう)

ただ、この前提がそもそも分かりにくい。
次郎丸は浅香姫を我が物にしようとしているし、
全体のトーンとして「俊徳丸対次郎丸」の構造になっている。
この構造の中で、「玉手が孤軍奮闘している」状況は、
何か上手に筋に組み込まないと、ピンと来ないのでは?

そんなことを思って、高田馬場に出て本・CDを借り換え、
飲んで帰宅した。
コメント
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