ある時代の到来。
突然、全ての人々の胸に孤立が、巣食い始める。
孤独が欲しくてたまらない。
人々は、人との関係、社会との関わりを拒み始め、全て部屋に引きこもり始める。
与えられた仕事だけ果たすと、すぐに人々は自分だけの自由な空間を求めて、
顔を強張らせながら別れてゆく。
仕事中も決して必要以上の口は開かれない。
そして笑い顔と声は消える。
家族との対話も、いっさい無く、赤ん坊から老人まで、全て、
その孤独の喜びを理解している。
そして人々は自分の孤独を守るため、他人に細心の注意を払い、
他人の生活と、孤独の喜びを傷つけぬように気をくばり合う。
皆が孤独にこもるため、決して、それを破ろうとはしない。
他人との接触から生じる犯罪は無くなる。テロも戦争も無い。
そして何十年かが過ぎさり、人々は孤独を、それぞれ極めだす。
確実に人々は、ことごとく切り離される。
そして、突然、孤独界の限界が突き破られる日が訪れる。
人々は淋しくて淋しくて人を、ぬくもりを優しさを、烈しく求めだす。
人々は孤独の部屋から、ついに解き放たれて他人の手を足を目を、全てを愛する。
人々、一人一人が全部になったのだ。
全ての人々にとって、彼も彼女も君も全て自分になる。
いとおしくてしょうがない。
だから彼の彼女の君の生活を考え全てを愛し、尊重する。
皆、光り輝く。
空気を光を水を賞賛する。
孤独の一人だけの自由な世界が最も高まった時、反対の最高次元に転化するのだ。
一人だけの自由な世界が、自由な世界の全てが、一人、
そして、全ての人が同じものとなるのだ!
へぇ~へぇ~へぇ~、感激~ぃ!
kipple