Kinoの自転車日記

自転車と共に過ごす日々

チェーンが伸びるとは その原因と症状

2018-02-21 20:12:25 | 自転車整備 チェーン
自転車整備の中でチェーンが伸びると言う事が良く言われます またそれを測定する道具も有ります
チェーンはどの様な原因で伸びるのでしょうか まさか金属のプレートが伸び続ける訳でも有りません
伸びると言う症状をチェーンの構造を見ながら詳しく解説させて頂きます





自転車に使われるチェーンの種類は幾つか有りますが まず後ろのギアが一枚の物に多く使われる
厚歯用 後ろのギアが複数枚の物に使われる薄歯用とその一種 NARROW ナロータイプ これらは
チェーンの巾で区別されますが 構造的にはピンの装着部にブッシュを使うタイプとそれが無い
ブッシュレスタイプ 自転車のチェーンはこの辺りで構成されています






これは厚歯用ですがチェーンの基本になる構造を持っています
前述の色々な種類のチェーンも基本的にはこれと同じ構造です






チェーンにはこの様に外側に有るアウタープレート=アウターリンクと
内側に有るローラーリンク またはインナーリンクと呼ばれる二つの
リンクで構成されています






チェーンを使っていると伸びると言う現象が起きそれを測定する為の
この様な道具も有ります




チェーンが伸びるとギアや変速性能に影響を与えるので交換をします
しかし金属で出来たプレートが限りなく伸び続ける訳も無くどの様な
原因で伸び続けるのかその原因を考えてみましょう








それを考える為にチェーンをカットして構造をもっと良く
見てみましょう チェーンは先程の厚歯用ブッシュタイプです
一般的にローラーチェーンとも呼びます






ここでは通常の整備をする時と同じ様に アウタープレートに
チェーンピンを残して切ります






ローラーリンク 2つと アウターリンク 1つにしました








そこからさらに切り離して行きます








この様にローラーリンク=インナーリンクとアウタープレート=
アウターリンクに切り分けました




アウターリンクはプレートとチェーンピンで構成されています
このチェーンピンは押し出した状態です 通常は右側に差し込まれた
状態で使われています






ローラーリンクはインナープレートにローラーが挟まれています






ここからローラーリンクをさらに分解します ブッシュに圧入された
インナープレートを外しました






ローラーです これはブッシュに入れて有りますが 抵抗なく
外す事が出来ます






これがブッシュです インナープレートに圧入されています
これがローラーの芯になり ローラーはこの外で回転します
内部にはチェーンピンが刺さります






ここまで分解したチェーンの構成はこうなっています





分解したチェーンの構成を見易くしてみました これが一般的なチェーンの構造です 
自転車に乗ってクランクを回転させるとチェーンは前ギアから~後ろギアを介して動きます
ギアを通過する時にチェーンは屈折しギアを通り越すと真っ直ぐになる事を繰り返します
その時にこの中の駆動部が動く事になります この動作が伸びると言う症状に大きく関わってきます




ここで



通常のチェーン使用時のピンの状態を見ておきます
先程分解した時の様に ピンを抜いてしまわずに
アウタープレートを外しました






チェーンを繋いだままアウタープレートのみ外しています






アウターリンクのピンからローラーリンクを抜きました
ピンの頭が大きいのでこれは固くて難作業です




ピンのここが実際にブッシュの中に入っている部分です



次に



ブッシュレスチェーンとはどの様な物でしょう これの
構造も見てみましょう




これは Shimano シマノの HG チェーン 後のギアが複数の多段用には
とても良く使われています 巾の狭い NARROW ナロータイプでもあります






ローラーリンク=インナーリンクを取り外しました








インナーリンクを分解するのに全く力は必要有りません
ローラーとインナープレートだけの構造です




ブッシュレスと言う様にローラーの芯になる ブッシュが
有りません








ブッシュレスのチェーンはこのインナープレートに特徴が有ります




プレートを加工する事で突起を作り ブッシュの役割を持たせています




左右のプレートを合せています ローラーはこの間に入ります






ローラーは加工された部分を芯にして装着されます
これがブッシュレスチェーンの構造です




ローラーリンクをアウタープレートで挟み チェーンピンで繋ぐ構造は
ブッシュタイプと同じです




伸びる原因

金属プレートも実際には伸びているのかも分りませんが、
それは私たちが用意出来る測定器具で測れる単位でも無く
またチェーンが伸びると言う症状にあまり影響を与えないのは
想像が出来ます




それよりは
この写真のブッシュでは ピンが入る内径とローラーが装着される外径で
摩耗が進み金属が痩せて行きます




ローラーはブッシュと接する内径と ギアと接する外径でも
摩耗が起ります





 
チェーンピンでもその外径=外周で摩耗が起り ピンが痩せます
ここまでがチェーンが動く事で摩耗が起る部分を見て頂きました





ここまで詳しくチェーンの構造と動く事で影響を与える部分を見て頂きましたが 
チェーンが動く事で屈折を繰り返し、駆動部の金属が摩耗します それに依り各部の遊びや隙間が大きくなり 
チェーンに引っ張る力を加えると増えた遊び分が長くなります その症状をチェーンが伸びると言い表しています

摩耗する部分も均一に摩耗が進むのではなく 力の加わる方向に依り歪に痩せて行ってるのではないでしょうか
屈折の度合を小さくしてやればその影響が少なくなりますから 変速に使うビックプーリーが有効だと言う事にも
繋がりますね 長い記事にお付き合い頂き有難うございました

コメント (6)
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