神戸の空の下で。~街角の歴史発見~

足かけ8年、150万PV突破。「近畿の史跡めぐり」のサブタイトルも、範囲が広がったために少し変更しました。

奈良・橿原神宮。

2009年10月14日 | ◆奈良県
家内安全・健康長寿・厄除け・合格祈願・商売繁盛

橿原神宮

(かしはらじんぐう)
奈良県橿原市久米町934

神仏霊場奈良 鎮護の道・第20番札所



一の鳥居。100mほど先、宮川に架かる神橋の向こうには二の鳥居が立っています。


〔御祭神〕
神武天皇
(じんむてんのう)
媛蹈鞴五十鈴媛命
(ひめたたらいすずひめのみこと)


 710(和銅3)年に平城京への遷都が行われてから、2010(平成22)年でちょうど1300周年を迎えます。奈良では「平城遷都1300年祭」と称して、平城京跡を中心に各地で様々なイベントが行われます。古代日本の政治の中心地であった明日香に近い橿原の地でも、2009年10月31日から11月1日にかけて「奈良まほろば市・食と農、商工フェスタ」が橿原公苑で行われるなど記念事業が進められています。その橿原公苑のすぐ脇に鎮座しているのが、神武天皇を御祭神として祀る橿原神宮です。





12,000坪の広さの自然豊かな深田池(左)と、広場を挟んだ北に立つ南神門(右)。


 
 初代天皇とされる神武天皇は、即位前の名を神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこ)といい、紀元前711年に鵜草葺不合命の四男(三男という説も)として生まれたといわれています。日向国の高千穂宮にいた磐余彦は「天孫降臨」以来、長きに渡り(伝説では179万年余)九州の地に君臨しているにもかかわらず未だに日本全土を統治することが出来ていないことを憂い、「青い山が四方を囲み、饒速日命が天より降臨している東の美しき地」すなわち大和国こそが天下統治の中心となるべき地であり、そこに進出して全国統治を行うことを決意して東征を開始します。

 船団を率いて出陣した磐余彦の軍勢は、筑紫国から安芸国を経由して吉備国に入り、3年ほど滞在して軍備を整えた後に満を持して浪速国へと進出します。河内国から生駒山を越えて進もうとした磐余彦の軍勢は、最大の強敵である長髄彦(ながすねひこ)が率いる軍勢の激しい抵抗に遭います。多大な損害を出した磐余彦は一旦兵を引いて軍勢を迂回させ、熊野ルートから吉野川を遡っての進軍を試みます。ここでも厳しい状況は続きましたが、何とか各地の勢力を攻略して勢いに乗った磐余彦の軍勢は、ついに長髄彦との決戦を迎えます。





大和三山の中で最も高い畝傍山(標高199m)をバックに広がる境内。


 
 「日本書紀」によると、戦いの際に一羽の鵄が現われて磐余彦の弓の先にとまり、その鵄が放った金色の光に驚いた長髄彦の軍の混乱に乗じた磐余彦の軍は一気に攻勢に転じ、窮地に追い込まれた大和国の王・饒速日命長髄彦を殺して降伏したといわれています。磐余彦は畝傍山の東南にある橿原の地を都と定め、紀元前660年の正月(太陽暦の2月11日)橿原宮で践祚して始馭天下之天皇(はつくにしらすすめらみこと)と称し、初代天皇の座に就きました。のち、8世紀半ばになって淡海三船によって漢風諡号である「神武天皇」の称号が追贈されています。神武天皇に関してはその実在に疑問も多く、「御肇國天皇」という同じ読みの諡号を持つ第10代・崇神天皇がモデルである説や、実在する最古の王であるとされる応神天皇がモデルとなったという説もあり、議論が分かれています。





左は1996(平成8)年再建の神楽殿。右は1939(昭和14)年建立の外拝殿(右)。


 
 神武天皇が都に定めた畝傍橿原宮(うねびのかしはらのみや)は、「橿原」という地名が残されていなかったために長い間どこにあったのかはっきりしていませんでした。しかし幕末の1863(文久3)年に宇都宮藩が中心となって行った「文久の修陵」によって天皇陵の推定地が決められた事を契機に橿原宮跡への顕彰施設建立の機運が高まり、明治時代に入った1888(明治21)年に地元議会が宮跡の保存を議決しました。翌年には明治天皇の勅許が下されて奈良県による橿原宮跡の推定地の買収が行われ、京都御所の建物が下賜されて内侍所を本殿、神嘉殿を拝殿(現在の神楽殿)として境内の整備が行われ、橿原神社が創建されました。さらに1890(明治23)年には神宮号の宣下が行われて「橿原神宮」と改称、官幣大社に列せられました。ちなみに神武天皇陵に関しては、現在地のほかにも綏靖天皇陵とされている橿原市四条町付近の地や、「丸山」と呼ばれる橿原市畝傍町付近の地にあったなどという諸説があり、そのうちの「丸山」説が最有力視されているなど現在も議論が分かれています。





整然と神燈が並ぶ外拝殿の回廊(左)と、主要な祭典が執り行われる内拝殿(右)。


アクセス
・近鉄南大阪線・橿原線・吉野線「橿原神宮前駅」下車、西へ徒歩5分。
・近鉄橿原線「畝傍御陵前駅」下車、西へ徒歩10分。
・近鉄南大阪線「橿原神宮西口駅」下車、東へ徒歩10分。
橿原神宮地図  【境内MAP】  Copyright (C) 2000-2009 ZENRIN DataCom CO.,LTD. All Rights Reserved.

拝観料
・境内無料  ※宝物館は入館料が必要。(大人:300円、高校生以下:200円)

拝観時間
・日の出から日没まで (宝物館・祈祷・その他受付は9時~16時)

公式サイト