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神戸市立御影公会堂
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(みかげこうかいどう)
神戸市東灘区御影石町4-4-1
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「みなと・神戸」に相応しく、船をイメージしたとも言われる御影公会堂の堂々たる外観。
神戸市東灘区の西端を南北に流れる石屋川。川沿いに整備された公園では、春になれば美しい桜が咲き乱れ、多くの花見客で賑わいます。この石屋川と国道2号線が交差するところに、レトロな風格を漂わせる建物が重厚な存在感を湛えてたたずんでいます。戦災や阪神・淡路大震災にも耐えた昭和の名建築・御影公会堂は、地元を代表する偉大な企業家の寄付によって誕生しました。建物の1階の奥には、その功績をたたえた小さなブロンズの胸像が置かれ、公会堂を訪れる人々を見守っています。
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公会堂の入口。
御影公会堂は、白鶴酒造の7代目の社長で「鶴翁」と呼ばれた嘉納治兵衛氏の寄付などによって1933(昭和8)年に武庫郡御影町の公会堂として建設されました。当時厳しい経営が続いていた白鶴酒造を見事な経営手腕で立て直した嘉納治兵衛氏は、会社を育ててくれた地域への感謝という思いから、教育や文化に対して多大な貢献をされました。御影公会堂以外にも、1931(昭和6)年には国宝や重要文化財にも指定されている中国陶磁器の世界的コレクションを集めた白鶴美術館を建設、灘五郷の名門・桜正宗や菊正宗などと共同で進学校として全国でも有数の名門・灘中学校を設立しています。
御影公会堂の建設には、当時のお金で24万円の総工費がかかりましたが、嘉納治兵衛氏は、そのうち22万9千円を寄付したといいます。こうして産声を上げた御影公会堂は、地上3階、地下1階の鉄筋コンクリート製で、1000人収容の大ホールは1954(昭和29)年に三宮に国際会館が建てられるまでは、神戸市内で最大の集客施設だったそうです。この建物を設計したのは、武庫郡六甲村、現在の灘区出身で神戸市の初代営繕課長を務めた清水栄二氏。耐震構造を非常に研究し、地下の基礎部分に厚さ1メートル近いコンクリートを敷き詰めた、氏の建築の頑強さは、戦争での空襲や阪神・淡路大震災の強烈な揺れにも耐え抜いたことで証明されました。
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風格あるエントランス(左)の奥に置かれている嘉納治兵衛氏の胸像(右)。
1945(昭和20)年6月5日に行われた大空襲では、無数の焼夷弾によって神戸の町は焼き払われ、御影公会堂も外壁や建物の一部、地下食堂を残して全焼。その破壊ぶりは戦後の進駐軍が接収を諦めるほどで、しばらくは財政難から廃墟同然のまま放置されました。スタジオジブリの映画「火垂るの墓」でも、焼け野原にぽつんと立つ御影公会堂の景色が描かれています。御影町だけでは御影公会堂を再建する余裕はなかったため、神戸市との合併を行う際に市の予算で公会堂を再建することなどを条件に盛り込んだ結果、ようやく1953(昭和28)年になって御影公会堂の再建が実現しました。
再建なった御影公会堂の大ホールには、1957(昭和32)年に公営結婚式場が設けられました。当時高まっていた「新生活運動」、暮らしから無駄を省いてシンプルな生活を送ろうという世間の流れに乗り、簡素ながら趣のある御影公会堂での結婚式には多くのカップルが殺到し、最盛期の1964(昭和39)年には年間1,000組以上のカップルが結婚式を挙げたそうです。残念ながら、暮らし向きが豊かになり、ホテルでの挙式が主流になってくると利用者も激減。1983(昭和58)年には閉鎖されましたが、今でも当時御影公会堂で挙げた結婚式の思い出を懐かしそうに語る年配のご夫婦の姿が見られます。
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2階への石階段(左)と2階の踊り場(右)。重厚な質感に力強さを感じます。
数多くのグルメ雑誌にも紹介されている「御影公会堂食堂」は、昭和のレトロな香りを色濃く湛えた雰囲気の中で、手軽で美味しい洋食を楽しめるレストランとしてその名を知られています。地下にありながら巧みな採光によって明るい陽光に恵まれた食堂内は暖かい雰囲気に包まれ、昔ながらのオムライスやハヤシライスは定番メニューとして多くの人々の支持を受けています。営業時間は午前が11時から14時まで、夜は17時30分から20時30分までとなっています。定休日は火曜日で、月曜日は夜の営業はしていませんので、事前にしっかり確認をしてから昭和の味覚を堪能しに来てみてください。
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地下1階にある御影公会堂食堂には、昭和の懐かしい香りが漂っています。
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アクセス
・阪神電車「石屋川駅」下車、北へ徒歩3分
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利用料
・大集会場(550名収容)
※9時~21時使用 :19,800円(時間帯によって料金は異なります)
・集会室(5部屋) ※剣道や空手、日舞、茶華道教室に使用可
※9時~21時使用 : 2,600~3,300円(時間帯によって料金は異なります)
開館時間
・9時~21時(定休日:毎週火曜日、12月29日~1月3日)
公式サイト
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