六日のあやめ

「バリ―ターク」観劇の感想

「バリ―ターク」シアタートラム
5/30(水)ソワレ D列(実質2列目)中央
5/31(木)ソワレ トラムシート上手(客席最後部バーによりかかれる半立見)

開演数分前、別に合図があったわけではないのに自分含め客席内の話し声がスッとなくなりシーンと静まり返った。
ハッと気付くと暗闇だったステージ中央にスポット、手に持ったナイフを突き出している男1(草なぎ剛さん)の姿、物物しい語り。
上手に上半身裸(パンいちだっけ)の男2(松尾諭さん)。
どちらから話しかけたか忘れたけど、男1の芝居がかった様子が普通(と感じる)に変わる。
男1は30歳代なかばとのことだけど、どこか少年のように感じた。
この感じ方はあながち間違いではなかったかも?と後から思うことになる。

男二人は踊りながら着替えたり(男1シャワーシーンにムフフ^^;)食事したり。
食器等投げ合うシーン息が合っててお見事、カッコいい!
そういえば男1は冒頭ナイフ回し投げからカッコいいのよね。
音楽に合わせての二人の動き本当に素晴らしかった。

羽音が聞こえてハエが飛ぶシーン、男たちが動くその視線の先に自分もハエが見えたと感じて震えた。
無邪気に追いかけ飛び上がったりして掴む男1、ハエをたたき落とし潰す男2、それを拾い手の中で生き返らせる男3、それぞれ違う場面、ハエの存在を確かに感じる。
「ガラスの仮面」の逃げた小鳥や、恩田陸「チョコレートコスモス」の犬を思い出した。

男二人が語るバリ―ターク、その住人たちに扮して演じるシーンが面白い。
女性になったり、いわくありそうな男の声色だったり、猫になったり。
パンフでの剛くんの言葉「小学生が自分たちのルールで遊んでいるようでもあり、“今まさにお話をつくっている”という感じ。」そう、その感じ。こう言い表す剛くん賢いと思う。

男二人が遊んでいるシーンは楽しいけれど、突然聞こえてくる話声、壁に耳をあてそれを必死に聞きながら「ここにいます。聞こえますか?」等叫ぶ男1。
何故かわからないけど、彼らはこの部屋に閉じ込められ、毎日同じ遊びを繰り返すしかないのか?
哀しみ、重苦しさ、恐ろしさを強く感じる。
痙攣等男1の苦しみを観るのが辛い。遂には額を壁に打ち付け血が流れる・・。

不穏な状況からさらに男3(小林勝也さん)の登場。彼は神?死神?
その会話から、男二人は幼くして亡くなっているのか?と感じた。観劇後パンフで辺獄を読み、やはり・・と思う。
お茶のシーンは楽しかったけれど・・。
男二人は、一つの死が必要だけれど、どちらにするかは自分たちで選択していいと告げられる。

男3が去った後、そのことには触れずまた遊びを繰り返そうとする二人の男。でもそれは異常なほどの激しさ。
彼らはかつて壁の外にいて名前があったことを思い出す。いや、思い出したのは男1だけ?男2は無理に忘れたと言った、男2は自分たちの状況をずっと把握していたのかも?と感じた。

年上の自分が死に向かうと言う男2。
葛藤のあと、男2の言う通り自分が残ると告げる男1、その彼の語りは穏やかで清々しく、希望があふれていた。とても心地いい語りだった。
そして、いざそこに向かうとき、男2は自分ではなく男1に行けと言う。
男2は最初死は辛いことだと感じていて自分が行くと言ったけれど、男2の語りにより、死は恐れるだけのものではなく、その前の「12秒間」は輝くもので、それは男1が望んでいることだと感じたのだろうか?
素直にその言葉に従い「12秒間」とその先に進む男1、彼はどの選択でも希望はあると信じているのかもしれない。

男たちはお互いを思いやって選択したと思う。
でも部屋に残った男2の寂しさを正直感じてしまった。
そこに壁をたたく音。幼い少女の登場。
男2は少女と一緒にまた部屋の中の遊びを繰り返すのだろうか?
ラスト少女の笑みが可愛かった。
男2と少女に希望があることを信じたい。

なんとか思い出しながら自分なりの解釈。でも正直わからない、難しい。(^^;
凄い芝居を観た!うまく言葉にできず一番の感想はこの一言になってしまう。
情けないことに正確には記憶できてないけど思い出したことを記してみた。



剛くんの舞台は「父帰る/屋上の狂人」(感想)、「瞼の母」(感想)、「K2」(感想)、「ぼくに炎の戦車を」(感想)、「二都物語」(感想)、「burst!」(感想)と観劇してきて、どれも素晴らしかったけど、今回さらなる進化を感じたことの驚きと嬉しさが大きい。
非常に激戦のチケットとり。
新しい地図抽選結果発表時私は外れて娘もダメだろうと思い、他の先行抽選申込みお願いとLINEしたら「うち5/30のチケットとれたよー」とサラッと返信がきて一瞬ポカンの後で嬉し泣き。
地方では東京に簡単には行けず他のイベントは我慢して泣くことが多いけど、剛くんの舞台は是非とも複数回観たい。一般発売でトラムシートがとれて嬉しかった。
今年2月以降の我が家は、マロ、義母、Fさん続けて病気、心配毎が多くてヒヤヒヤしたけど、無事観劇できた喜びを感想記して改めて感じている。

コメント一覧

きーた
〉黄菜子さん
こちらこそ読んでいただきありがとうございます。
頭の中では舞台シーンがいくつも浮かんでいるのですが、上手く表現できなくてお恥ずかしいです。
私は今回の配役が最高と感じる気持ちが強くて、同じキャストで何回も観たいです。m(_ _)m
黄菜子
舞台の感想、ありがとうございます。きーたさんの感想を読んで私も舞台を見た時のことを改めてまた考える事ができました
まだ終わってないけれど、再演もあればいいなあと思います。逆の配役や色々なキャストで見てみたいと思いました。
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