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木喰上人



先日、南阿蘇の一心行の桜を見た帰り、阿蘇市(阿蘇の北側)の旧宿場町の道を通り、その時、木喰上人の観音像という表示が見えました。なんで木喰上人の仏像がこんなところにあるの??と心ときめいたんですが、時間が時間だったので帰路を急ぎました。

あれから木喰上人への思い絶てず、今日はひとりで阿蘇坂梨に向かいました。遠いところではなく、車で30分もかかりません。

像を見て、少しがっかりしました。私が思い描く木喰上人の仏像ではありませんでした・・・でも明らかに上人の作だと思いました。驚いたのはその大きさです。この像、身長が165cmあって、ケヤキでできているそうです。

ネットで調べると寛政四年(1794)に阿蘇坂梨に滞在した。上人の生まれは1718年だから、当時すでに76歳だった。電気ノコや電気ノミ等が無かった時代に、大きなケヤキ原木から、こんな大型の観音像を造るのは大変だったと思います。が、彼は60過ぎてから1000体もの仏像を彫ったそうです。91歳に彫った仏像が残されている。おそらく死ぬまで彫ったのでしょう。木喰という名のように、草木のみを食べるというような禁欲的な修行をしながら日本じゅうを旅しておびただしい数の仏像を造った。



インド由来の観音像はアジア各国で古くから格調高い観音像が造られてきましたが、木喰上人の造る仏は、正統的な造仏規則にとらわれない非常に庶民的で自由な感覚がみられます。



木喰上人のこの観音像はこのお堂に安置されています。盗もうなら簡単に盗めます。偉大なる上人の貴重な作品ですが、大げさな保存はなされていない・・・それをよしとしましょう。それが本来かも知れません。入場料を取る博物館のガラスケースにおさまって、湿度管理までされるようになったら、それは木喰上人にとっても不本意でしょう。上人は美術館や博物館に収納されるために仏像を造ったのではありません。民衆を救済するために造ったんです。