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「未病」の数値化に成功

2019-07-25 10:26:57 | 健康・医療
富山大学和漢医薬学総合研究所等の研究グループは、健康と病気の中間点ともいえる「未病」の状態を数学理論に基づくデータ解析で、科学的にとらえることに成功したと発表しました。

将来的には予防的医療にもつながる成果として期待されています。「未病」は二千数百年前に書かれた中国最古の医学書「皇帝内経」にも記載されるほど古くから認識されていますが、概念的なものに限られ、科学的な裏付けはありませんでした。

私が住んでいる神奈川県では、この未病を大きなテーマに掲げ、関連する多種多様な企業などを会員とした、「未病産業研究会」を設立しています。

ここでは国家戦略特区なども活用しながら、超高齢社会において成長産業となり得る、神奈川発の「未病産業」という新たな産業を創出することで、国民の健康寿命の延伸と日本経済の活性化を目指すとしています。

この時英語にない未病の概念を説明するために「ME-BYO」という言葉を特許出願するなどしていますが、この数年で何かが具体化したという話しは無いような気もします。

研究グループは、ある状態から別な状態へ移り代わる際に起きる「揺らぎ」に着目しました。東京大学のチームは、健康という状態と病気という状態の間にある未病状態では、成体信号の揺らぎが大きくなると、数学理論的に解析しました。

富山大学のチームは、この理論を実証する実験を行いました。生後8週目以後にメタボリック症候群を発病するマウスを飼育し、3週目から7週目まで1週間おきに脂肪細胞を取り出して、2万数千個の全遺伝子を解析しました。

このうち147個の遺伝子で5週目に、時間当たりの遺伝子の複製量が大きく変動する揺らぎが起きていました。この時期がマウスの未病状態に当たり、147個の遺伝子がメタボリック症候群の未病を診断する際の指標になるとしています。

未病のうちは健康な状態に戻ることができるものの、発症してしまうと回復することが難しくなります。このため血圧や血糖値、コレステロールなど数値に異常が現れる前の段階で、遺伝子の発現量の揺らぎから未病と診断できる意義は大きいようです。

今回はメタボリック症候群で実証しましたが、高血圧やアルツハイマー病など緩やかな時間変化をたどる他の疾患にも応用できるとしています。

高齢化が進む中で、健康寿命を延ばし医療費の抑制につながると期待されています。今後は、人間にも当てはまるかどうかの実証を行う予定です。

富山大学の8部局の研究者30人と、東京大学のグループが参加する重点プロジェクトとして取り組むようです。この成果は、未病を治す薬の研究にもつながるとしています。


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