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ブドウ糖より健康的な「脳のエネルギー物質」とは

2023-05-21 10:38:10 | 自然
脳の活動が活発になると、多くのエネルギーが必要となることは知られています。私が感じるのはやや長時間運転した時で、ほとんど体を動かしていなくても通常以上にお腹が空いてきます。

脳の燃料のひとつであるブドウ糖は、多くの点でガソリンに似ています。このブドウ糖は摂取する炭水化物を介して血液中に入ります。ミトコンドリアは細胞内でこのブドウ糖から、酸素を使った複雑な燃焼メカニズムによってエネルギーを作り出します。

このプロセスは「好気性代謝」と呼ばれ、それなしで生きることは不可能です。しかしガソリンと同じように代謝は高い代償を払い、それが排気ガスとなります。ブドウ糖による代謝の副産物のひとつは「活性酸素」あるいはフリーラジカルと呼ばれる物質です。

理想的な状態であれば、この有害なフリーラジカルを除去する方法があります。しかしフリーラジカルが増えてくると、それを除去しきれずダメージのプロセスが連鎖的に始まり、老化やそれに関連する症状を誘発します。

この生物学的な化石燃料ともいえるブドウ糖に代わるエネルギー源がケトン体で、よりクリーンにより効率よく長く燃焼できます。ケトン体とは脂肪が代謝されてできる「ケトン」という化学構造を持つ物質で、割と身近に存在しています。

ケトン体はブドウ糖より少ない代謝プロセスで、取り込んだ酸素からより多くのエネルギーを作り、エネルギー変換時に生成されるフリーラジカルが少なくなるためです。またフリーラジカルを中和する力が強いグルタチオンという天然の抗酸化物質を使える機会も大幅に増えます。

ケトン体が脳にあると、BDNFを増産する遺伝子経路が活性化されることが研究で示されています。BDNFは気分を改善したり学習能力や可塑性を促したり、神経細胞を日常的な損傷から守ったりといういわば脳の「成長ホルモン」です。

炭水化物をふんだんに摂る普通の食生活において、この有益なケトン体の合成はほぼ抑えられた状態にあります。高炭水化物食によって膵臓のインスリン分泌が刺激され、インスリンが増えるとケトン体の合成が止まるからです。

一方絶食や炭水化物を極端に減らした食生活によってインスリンが抑えられると、ケトン体の合成が誘発されます。こうした食事療法はケトン食療法と呼ばれ、てんかんの有効な治療法として80年にわたり臨床現場で実践されているようです。

こういったケトン体を利用すると良いというのはひとつの説ではあるのですが、ケトン体合成はある意味緊急避難的な要素があるとされています。

つまり通常は糖類によってエネルギーを得ていますが、それが不足した場合体内の脂肪によって補うというメカニズムです。これを増加させるための断食などは、たまにやる程度のもののような気がします。


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