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体重を減らし生活習慣病リスクを下げる「褐色脂肪」

2023-03-23 10:34:42 | 自然
私は若いころからやせ型でありあまり脂肪を気にしたことはありませんが、通常白色脂肪と呼ばれる脂肪が問題となります。

一方ヒトの身体には違う種類の脂肪もあり、褐色脂肪は重要な働きをしているようです。褐色脂肪は生まれて間もない新生児の首と肩に多く、カロリーを燃やして体温を維持しています。

成長するにしたがって褐色脂肪は減り、6歳になるころには5%以下しか残らないものの、代謝にとって重要な組織でありこれが多い大人は肥満や糖尿病、高血圧などになりにくいとされています。

白色脂肪がいわば「悪い脂肪」なら、褐色脂肪は「良い脂肪」といえます。2020年カナダのシャーブルック大学病院研究センターなどの研究チームが、褐色脂肪を活性化させる方法を発見したと発表しました。

褐色脂肪は冷たい空気や化学信号によって活性化され、エネルギーを燃焼して熱を発生させ、このプロセスを熱産生と呼んでいます。

ヒトの身体には少量の褐色脂肪が蓄えられていて、薬など別な方法で活性化させたり、あるいは白色脂肪を褐色脂肪に変えて代謝を改善できると、科学者たちは長い間仮説を立てて研究に取り組んでいました。

研究チームは白色脂肪を試験管に入れていくつかのDNAスイッチを入れたところ、褐色化したことを確認しました。次にこの褐色脂肪を太ったヒツジに注射してみると、ヒツジの体重が減り、メタボリックシンドロームと糖尿病が改善しました。

もともと白色脂肪だった褐色化脂肪の問題点は、褐色脂肪の利点をすべてプログラミングしなければならないことでした。

デラウエア州の研究チームは、数人の女性を対象にした休眠状態の褐色細胞を活性化させる実験で、既に承認されている薬を使ってこのプログラミングに成功しました。

高齢者の多くは褐色細胞をほとんど持たないため、持っている褐色細胞を活性化させるだけでなく、外から褐色細胞を加える必要が出てきます。そこですでにその人自身の白色脂肪細胞を一旦多能性細胞に戻してから、それを褐色細胞に変える試みが検討されました。

研究チームは皮下脂肪組織などの細胞を多能性幹細胞に戻したのち、褐色脂肪細胞を作るためにさらにいくつかのDNAスイッチを作りました。

次にヒツジの体内に入れたときに身体が拒絶反応を起こさないように、この褐色脂肪細胞を培養して細胞表面のタンパク質を変える遺伝子を活性化させました。狙い通り太ったヒツジは注射された褐色脂肪に対して拒絶反応を示すことはありませんでした。

このように白色脂肪を褐色脂肪に変えるというこの技術は、人体での臨床試験を開始してから5年以内に実現できると予測されています。褐色脂肪によって体重を減らし、糖尿病、心臓病、認知症などのリスクを低下させられるかもしれません。


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