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間質は人体で最大の器官か

2018-04-14 10:42:18 | 自然
人体には全身の細胞と細胞の間に体液で満たされた空洞があり、これは「間質」と呼ばれこれまでは単なる結合組織とみなされていました。しかしこれを新たな器官として扱うべきだという論文が発表されました。

間質というと細胞がバラバラにならないように、コラーゲンがいわば接着剤のようになっている組織で、これが各細胞間にあるためにコラーゲンというタンパク質がヒトの体の中で最も多いタンパク質であるということをずいぶん前にこのブログでも書いたことがあります。

ニューヨーク大学などの研究チームによると、皮膚の下部、消化管や膀胱、胚、動脈の周辺にある網状の組織が「衝撃緩衝材」として機能を果たしている可能性があるとしています。人間が呼吸や食事といった一般的な日常生活を送る際に、臓器の膨張や収縮を可能にしていると考えられます。

間質とそれを満たす間質液の存在はこれまでも確認されていましたが、特定の役割があるとは考えられていませんでした。今回の研究で間質液は、細胞が発するシグナルや有害な分子の存在を伝達する役割を担っている可能性があることが明らかになりました。

また浮腫(血管外の皮膚組織に体液がたまった状態)との関連や、ガン細胞の拡散への影響も指摘されています。

この論文では、「この発見により、さまざまな臓器の機能的活動や、疾病における通常とは異なる体液の動きについて、再考する必要が生じるかもしれない」と結論付けています。また予備データにより、「間質液のサンプル分析は診断の手段となりうる」ことが示されたとしています。

研究チームは、間質の役割がこれまで見落とされていた理由について、間質液が流れ出てしまっていたためと説明しています。顕微鏡を使った従来の解析では、組織標本の腐敗を防ぐためホルムアルデヒドなどで固定してから切片を作製していたため、この過程で体液が消失していました。

研究チームは「プローブ型共焦点レーザー内視鏡(pCLE)」と呼ばれる解析システムを用いました。pCLEでは対象部位に蛍光色素を投与してからレーザー光を照射することで、生体内の組織を観察できます。

この装置を使って患者の胆管を観察していたところ、浸水した層の存在を発見しました。また胆管周辺の組織中に奇妙な「網状のパターン」があり、この組織の内部には多角形の空洞とそれを取り囲む枝分かれした繊維も見つかりました。

研究チームは、他の臓器などの周囲にもこの液体で満たされた網状に空間があることを確認しました。また解析に使ったサンプルの一部からは、ガン細胞が間質に侵入し動き回ることができるというエビデンスも発見されています。

このようなことから研究チームは、間質を器官として認めるべきといっていますが、それには別の研究やそれなりの議論が必要と考えられます。


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