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血液ガンの新たな治療法「CAR-T療法」とは

2021-09-29 10:27:05 | 健康・医療
2019年に承認された新しい血液ガンの治療法として注目されているのが「CAR-T療法」です。

この治療法については承認されたころこのブログでも取り上げましたが、やっと治療法としてほぼ確立してきたようです。

ヒトの身体の中には、ガン細胞や病原体などの異物を攻撃する免疫機能が備わっています。その中心的な役割を果たすのがリンパ球、顆粒球、単球といった白血球です。

このうちリンパ球には、T細胞、NK細胞、B細胞などの種類があり、このうちT細胞を遺伝子的に改変したCAR-T細胞を用いるのがCAR-T療法となっています。

T細胞にはガンを直接攻撃して死滅させる働きがありますが、ガン細胞の中にはT細胞が「ガン」と識別できないものがあり、それが発症につながります。そこでCAR-T療法では患者からT細胞を取り出し、遺伝子医療によってCARというタンパク質を作り出せるようにします。

このCARが、ガン細胞の表面にある抗原を認識し、攻撃できるようにする治療法です。CAR-T療法の流れは、まず患者から白血球を採取し、その中からT細胞を分離して、CARを作り出すように遺伝子改変したT細胞とします。

これを治療に必要な量まで培養して増やし、CAR-T療法を行う施設に輸送します。患者は白血球採取後、抗ガン剤治療や放射線治療でガンの症状を安定させ、CAR-T細胞が体内に生着しやすいように、リンパ球除去化学療法を受けます。

ここまででだいたい6〜8週間かかり、CAR-T細胞の投与となります。輸血と同じような方法で、投与は1回30分以内で終了します。治療は腫瘍の量が少ないほど効果は高く、血圧低下や意識障害といった副作用が起こりにくいので、CAR-T療法の前の腫瘍量のコントロールが重要となります。

CAR-T療法の対象は、「再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫」「急性リンパ芽球性白血病」「再発または難治性濾胞性リンパ腫」と対象疾患が決められています。その他の必須要件に該当してもこの治療を受けられない人もいるようです。

実際にこの1年で30数例ほどCAR-T療法を行っていますが、最終的にCAR-T療法まで行きつくのは3分の1ほどの患者となっています。打つ手がなくなったリンパ腫患者が、CAR-T療法によって完全寛解したケースもあるようです。

この治療法はまだいろいろな問題があるようですが、大きな課題が保険適用されていても、価格が3300万円以上と超高額になることです。こういった細胞を取り出して分離培養して元に戻すという治療は、一般に高額になるようです。

血液ガンが治るのであれば、また高額医療制度が使えるとしても、これほど高額の治療は一般的な治療法となるとは考えにくいような気がします。



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