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ごっとさんのブログ

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高齢者に降圧剤は必要ない

2025-07-10 10:31:46 | 健康・医療
私は若いころから低血圧気味で、100前後しかありませんでした。医師によれば何か症状があれば対処するが、特になければ放置しての良いということで何もせず暮らしていました。

最近はさすがに歳をとり120程度となっていますが、血圧を気にする必要はなさそうです。降圧剤の問題点については、海外でもこのテーマに関する調査が発表されています。しかしなぜか日本の医学会は、これに注目していないのが現状のようです。

2020年6月、英国に本部を置く医療研究団体のコクランが、高齢者が降圧剤を中止するとどのような影響がでるかと題する論文を発表しました。

その結論は、・降圧剤を中止しても、死亡リスクにはほとんど影響しないか、全く影響しない、・入院や脳卒中のリスクにはほとんど影響しないか、全く影響しない、というものでした。コクランは今年3月にこの論文を更新しましたが、主な結論は依然として当てはまるとしています。

コクランの調査の対象者は、高血圧症または心臓病の予防のために降圧剤を飲んでいた50歳以上の合計1073人です。被験者の年齢は58歳から82歳までとなっていました。

研究期間は最短4週間から最長56週間で、中には降圧剤の投与量を徐々に減らしてから投与中止しているケースもありました。英国は医療費が無料で、全額を国が公費で支払っているため、無駄な医療は極力辞めたいという社会的なニーズが高くなっています。

そのためこの薬は本当に必要なのかという点について科学的根拠をもとに検証するエビデンス・ベースド・メディスンが発達しています。

この調査背景として、高血圧は心血管疾患の重要な危険因子ですが、降圧剤の使用は高齢者において、薬物有害反応や薬物相互作用の発生といった有害事象と関連しています。一部の高齢者においては降圧剤の服用中止が適切と考えられる場合があるといったことです。

調査項目としては、降圧剤の服用を続けた被験者と中止した被験者の死亡率の変化です。また心筋梗塞、脳卒中、入院、薬物有害反応の発現率の変化などを算出しました。

これで前述の結果を出したのですが、エビデンスが不確かで確固たる結論を導き出すことができない部分があったようです。

今後の研究では、降圧剤の服用に対するベネフィットとリスクの不確実性が最も大きい集団、たとえば虚弱体質の人、高齢者、多剤併用の人に焦点を当て、薬物の有害事象、転倒、生活の質などの臨床的に重要な結果を測定すべきとしています。

こういったコクランの論文が、なぜ日本の医学界で話題にならないのかは、大きな問題といえるのかもしれません。