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脳の萎縮と認知機能維持の要因

2021-12-12 10:25:58 | 健康・医療
脳容積の減少(脳萎縮)は、以前は高齢者になってから生じると考えられていましたが、近年の脳MRIを用いた脳研究から、脳容積は20歳代が最も大きく30歳代から徐々に減少していくことが分かってきました。

京都大学の研究チームは、脳MRIドック受診者1799人を対象に脳の灰白質容積から算出したGM-BHQという指標が、他の脳の容積例えば海馬容積計測と比較して、認知機能テストの結果と強く相関することを明らかにしたと発表しました。

脳容積の減少は加齢による変化の他、肥満や糖尿病などの生活習慣病の有無、疲労状態、食生活などとも関連することが分かっています。そこで脳容積を用いて脳の健康を数値化する、または脳年齢を計測するといった研究が世界中で行われています。

そのうちのひとつが国際通信連合によって標準化されている、脳MRIで計測した灰白質容積や白質の結合性を領域ごとにデータベースと比較して偏差値を求め、その平均した値を脳の健康指標とする「BHQ」という値です。

研究チームは3つの仮説を立てその検証を試みました。この仮説は省略しますが、対象者のさまざまな検討の結果この仮説を踏まえた3点の結果を得ました。

今回の研究の対象とされたのは、単一施設において2013年〜2019年の間に脳MRIドックを受診した1799名です。

まず第1が脳の灰白質容積から算出されたGM-BHQの関係を調査した結果、GM-BHQは海馬容積や傍海馬容積よりも認知機能と高い相関性が認められました。

第2は年齢を65歳以上とそれ未満のグループに分けて調査した結果、65歳以上のグループではGM-BHQと認知機能の関係性が乏しくなっていることが確認されました。

最後が脳の容積減少が進行している人を対象に、認知機能が保たれている群と低下している群に分け、肥満の程度や糖尿病、高血圧の有無、喫煙、飲酒、運動、教育年数などを比較しました。

その結果脳の容積減少が進行しても認知機能が保たれている群は、教育年数が長いという結果が得られました。今回脳容積が減少している人を対象にしたのは、脳が委縮していても認知機能が保たれている人がかなりいるとの調査結果からです。

今回の結果で、大学や大学院まで進んだ教育歴の長い人の方が、脳が委縮しても認知機能が保たれているというのは興味深いものですが、今回の対象には20代から90代までの幅広い年齢層の人が含まれており、年代によって進学率が異なる点が考慮できていない点は注意する必要があるようです。

こういった結果を認知症の予防に応用するには、認知機能を防いだ要因のより詳細な解析が必要になるとしています。



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