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記憶システムの活性化

2019-06-30 10:30:55 | 自然
記憶については3月に簡単なメカニズムを紹介しました。軽い運動で記憶のシステムが活性化できるという研究成果を筑波大学などの研究チームが発表しました。

記憶には、脳のほぼ中央に位置する海馬が深く関わっています。目や耳、鼻などから入ってきた記憶のもととなる身の回りの情報は、大脳の表面を覆う大脳皮質から海馬に入力されます。

海馬内では「歯状回」「CA3領域」と呼ばれる部位を通り、再び大脳皮質へ出力されます。この一連の神経回路が働くと、外界から得た情報が「記憶」となって脳に残ります。

海馬は脳の色々な部位からの指令を受け、その情報を整理し記憶に関わるシステムを動かす役割を持っています。

これまで研究グループは、独自に開発した手法と装置を使ってラットやマウスに運動させ、一過性の低強度運動が歯状回を含む海馬の神経細胞を活性化し、学習・記憶力が向上することを確認しています。

そこでヒトでも軽い運動が記憶に及ぼす影響を高磁場MRIという機器を使って調べました。研究チームは、健常な若い成人36人それぞれに、運動条件と安静条件の両方の実験を行いました。

運動条件の時は自転車をこぐような10分間のペダリング運動をしてもらい、あらかじめ実験参加者ごとに計測した最大酸素摂取量に基づき、その30%になるように運動負荷をかけました。

一方で安静条件の時は運動せずに10分間そのまま座ってもらい、どちらも5分後に記憶テストを行いました。記憶テストでは、眼から入った情報を細かく記憶し後の判断に生かせるかどうかを調べました。

日常生活で目にするブロッコリー、リンゴ、ひまわりの花などの写真を何枚か見せた後に、それと全く同じまたは似ているが少し違う写真をランダムに提示しました。その際に全く同じ、似ているが少し違う、始めて出てきた、の三つの選択肢の中から答えてもらいました。

記憶の評価は、似ている写真に対して似ているが少し違うと正しく区別できた割合から判断しました。実験の結果は、運動条件の時の方が安静条件の時よりも正答の割合が高くなりました。

つまり超低強度の運動をした方が、安静にしていた時よりも写真の細かい違いを見分けて記憶できたと言えます。また記憶テストを行っているときに、脳の活動を高磁場MRIで測定しました。

似ている写真を正しく判別できた際の海馬内の各部位と周辺皮質の反応について解析を行いました。神経活動が活発になった部分を高磁場MRIでとらえて、記憶力高める基盤となる脳の部位を調べました。

この結果から軽い運動を行ったときは、海馬歯状回と周辺皮質の活動が活発になることが分かりました。その他よりハードな運動をした場合などを比較し、一過性低強度運動が最も記憶の活性化につながるという結論になったようです。

やはり脳の活動はまだまだ分からない部分が多いという気がします。


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