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最新ガン治療法の動向

2021-01-05 10:22:49 | 健康・医療
早期発見のガンを手術で患部を取り除いたはずでも、生き残った微小ガンによって再発したり転移したりするリスクは常に付きまといます。

治療を免れたこういったガン細胞(術後微小残存病変)が暴れ出せば、患者の生存率は低下してしまいます。

こうしたリスクに立ち向かうため、国立ガン研究センターは昨年6月微小なガンを対象にした「個別化医療」(患者の体質や病状に合わせた治療)の実現を目指すプロジェクトを立ち上げたと発表しました。

この計画は「サーキュレートジャパン」と名付けられ、国内外約150の医療施設の協力を得てスタートしました。まずは大腸ガンの患者2500人を対象に、外科治療の後血液を用いた定期的な液体生検(リキッドバイオプシー)によって、術後の抗ガン剤治療が必要かどうかを判断する臨床試験に取り掛かります。

従来は体内にできた腫瘍が良性か悪性かを調べるために、内視鏡などを用いて腫瘍組織を採取します。この組織生検は患者の負担も大きく、検査結果が出るまでに1,2か月かかることもあるようです。

リキッドバイオプシーは体液を使った検査で、血液や唾液、尿などの中のDNAを調べることで、ガン細胞の発生や変異をとらえることができます。最も進んでいるのが「ctDNA」と呼ばれる血液を循環するガン細胞由来のDNAに関しての研究です。

これを捉えて解析することが技術的に可能となっています。具体的には手術をしてから1か月後に血液を採取し、その中にガン由来のDNAがあったら約90%は再発し、なければ再発の可能性は10%程度となります。

以前は手術後再発の可能性が測れず、患者が軒並み抗ガン剤治療を施されていました。これが可能性10%であれば、必ずしも抗がん剤を使う必要がないと判断できるわけです。それでもこのリキッドバイオプシーを臨床現場に導入するにはしかるべき手順が必要となります。

そのため有効性を臨床研究で明確に示さなければなりません。具体的にはガンの部位に固有の遺伝子を16個選び、患者ごとのカスタムパネルを作製します。

術後1か月とそれ以降は3か月ごとに血液を採取し、この16種の異常な遺伝子を追跡し、術後の再発リスクを予測するという流れになります。

今後プロジェクトでは、追跡期間中ガン固有の遺伝子が一定の閾値を超えない患者は陰性とみなされ、「抗ガン剤治療を省く」という臨床検査に臨みます。一方で陽性の人は従来通り「抗ガン剤を導入」して両群を比較します。

コロナの影響で開始が遅れていますが、現在450人の患者が登録されているそうです。再発の可能性が判断できる検査というのは、臨床試験の結果次第ですが早く実用化されることを期待します。


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