ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

迷走神経を刺激し糖尿病治療に成功

2023-12-19 10:33:12 | 健康・医療
糖尿病は血糖値が上がる病気ですが、それ自体にそれほど問題はないものの多くの重篤な合併症があります。

私の友人は糖尿病から腎不全となり透析を受けるようになり、従妹は突然失明してしまいました。こういった点からも血糖値の管理は重要なようです。

東北大学などの研究グループが、脳と膵臓をつなぐ迷走神経を刺激すると、血糖値を下げる「インスリン」を作る細胞が増えることをマウスの実験で発見したと発表しました。

多くの糖尿病は、インスリンを作る膵臓の「ベ-タ細胞」が減ったり働きが落ちたりすることでインスリンが減り血糖値が上がって起こるため、インスリン製剤を注射して補う治療などが行われています。

ベータ細胞を増やす治療法が期待されていますが、まだ開発されていません。体内にはもともと、肥満になるとベータ細胞が増え、インスリンが多く作られて血糖値の上昇を抑える働きがあります。

この仕組みはよく分かっていませんが、研究ループは過去に迷走神経から出る信号がベータ細胞に重要な影響を与えることを見出しています。そこで膵臓につながる迷走神経を刺激すれば、ベータ細胞が増え糖尿病の治療ができる可能性があると考え、光遺伝学の手法を活用して実験を行いました。

青い光を当てると、迷走神経が活性化する遺伝子改変マウスを作成し、その膵臓には近赤外光が当たると青く光る粒子を埋め込みました。近赤外線は生体を透過する性質をもちます。

こうしてマウスに意図したタイミングで体外から近赤外光を当て、膵臓につながる迷走神経だけを刺激して活性化できるようにしました。光遺伝学の手法により、末梢の臓器で神経を制御したのは世界初のようです。

このマウスに糖尿病を発症させ、膵臓につながる迷走神経を刺激したところ、糖分を与えたときにインスリンが著しく増えてベータ細胞が活発になりました。

2週間ほど続けて刺激すると、ベータ細胞は倍以上に増え、この方法で血糖値の上昇を抑えマウスの糖尿病を治療することに初めて成功しました。同様の遺伝子改変をヒトに行うことはもちろんできません。

ただヒトのてんかんやうつ病、一部の腸炎では手術で迷走神経に電極を取り付け、電気刺激する治療が行われています。ヒトでも膵臓につながる迷走神経を同様に刺激することで、糖尿病の予防や治療法の開発が進む可能性があると研究グループは見ています。

実際にどんな手術が必要かなど難しい問題は残っていますが、糖尿病の新たな治療法開発につながる成果と言えるのかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿