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脳に電極を埋め込み難病を克服

2022-06-06 10:26:16 | 健康・医療
最近は音声認識技術が進み、声でいろいろなスイッチを操作するというコマーシャルなどを見かけるようになってきました。

私はそんな技術を入れる気は全くないのですが、次のターゲットは頭で考えるだけで操作できるようになるようです。しかしこれには頭蓋骨で遮蔽されている脳波を読み取ることが必要で、これには大きな壁があるとされています。

ドイツのチュービンゲン大学の研究グループが、自分では身体のどこも動かせない難病患者の脳に電極を埋め込み、コミュニケーションすることに成功したと発表しました。

脳の活動を読み取り、義手や義足をコントロールしたり、コンピュータに繋げてコミュニケーションしたりすることは、ブレインマシンインターフェース(BMI)と呼ばれています。

キーボードに打ち込んだり画面にタッチしたり声に出したりしなくても、頭の中で何かを念じて考えるだけで機器を操作できる技術といえます。

具体的には脳波や脳血流を頭の外から計測して脳活動を読み取る方法(非侵襲型)と、脳外科手術をして脳内に電極やセンサーを埋め込んで直接脳活動を計測する手法(侵襲型)の2通りがあります。

脳は頭蓋骨という頑丈な入れ物に入っていますので、その外から計測する非侵襲型には限界があり、脳活動を正確にとらえるには侵襲型が必要とされています。

今回の研究グループのBMIが画期的だった理由は、この患者が筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病の重度に進行した「完全ロックトイン症候群」という状態だったことにあります。

ALSは非常にまれな脳神経の難病のひとつで、原因も治療法も未解明で全身の運動神経が徐々に侵され、数年のうちに身体を思い通りに動かせなくなっていきます。視覚や聴覚触覚などの感覚神経は侵されないのが特徴であり、意識や判断力はしっかりしています。

重度に進行して身体が全く動かなくなっても、眼やまぶただけ動かすことができて瞬きや視線でコミュニケーションを取ることがあり、この状態を「閉じ込め(ロックトイン)症候群」と呼んでいます。

今回の患者は30代後半の男性で、発症2年で身体をどこも動かせなくなる完全ロックトイン症候群となっていました。細かい技術的なことは省略しますが、ニューロフィードバック法という特殊な訓練を2週間ほど積むことで、手術を受けた患者は脳活動をうまくコントロールできるようになり、イエス・ノーの意思を表明できるようになりました。

このイエス・ノーを使って、文字や単語をひとつづつ選んで文章を作ることも可能となりました。これはある意味で治療といえ「閉じ込め」から出すことはできましたが、ALSからの回復とは程遠いものです。

それでもこういった技術の先には、筋肉を動かすなどの可能性もあり、進展を期待できるのかもしれません。


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