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毒の見分け困難な「雑種フグ」急増

2018-10-22 10:21:53 | グルメ
涼しくなってくるとフグの美味しい季節と感じますが、近年有毒部位が不明な「雑種フグ」が増えているようです。

温暖化で生息域が変わったことによる異種交配が要因と見られ、漁業地域も変化しています。種類不明のフグは市場や調理者が排除していますが、見た目が従来種と酷似したものも見つかっています。

フグを選別する調理者の資格基準は自治体で異なっており、鍋シーズンを迎える中関係者からは食中毒などの懸念の声が上がっています。

水産大学が2012~14年に茨城、福島、岩手の3県の太平洋沖で漁獲された種類不明のフグ252匹のDNA型を調べたところ、半数以上の149匹が雑種と判明しました。主に太平洋に生育するショウサイフグと、日本海に多いゴマフグが掛け合わされたものでした。

余談ですが、このフグ毒であるテトロドトキシンは美しい構造を持っていると感じています。分子量が300程度の小さな化合物で、基本は糖類の骨格ですが、それにアミジンという構造と、珍しいオルソエステルという構造を持っています。

これを美しいと感じるのは有機化学者だけなのですが、天然有機化合物の神秘さを感じるような構造となっています。こんなものをどうやって作り出すか全くわからず、卒業後3年ぐらいの天然有機化合物討論会という学会で、名古屋大学の岸義人先生がこの全合成を発表されたときに非常に興奮した記憶があります。

さてこのフグの雑種が増加している原因は、温暖化の影響で海水温が上昇してゴマフグが北上し、太平洋側に入り込んだためと推測されています。雑種は見た目がショウサイフグとほとんど変わらないものもいるようです。

この2種はトラフグ属で、日本海西部や瀬戸内海などで獲れる最高級品のトラフグほど一般的ではありませんが、いずれもフグ料理店で出されることがあり、インターネット通販でも調理品が売られています。

フグは種類によって有毒部位が異なるため、厚生労働省は自治体向けの通知で、食べられる部位を種類別に限定しています。種類不明のフグは有毒部位も不明なため、厳重に選別排除し消費者の口に入らない様市場関係者らに求めています。

雑種フグ急増の要因とみられる生息域の変化は、漁獲量にも表れており、近年では北海道の漁獲量が増加し、全国の1割近くを占めるようになってきたようです。

このように雑種フグをいかに排除するかが問題となっているようですが、私が行く比較的安いフグ料理店などはすべて養殖フグと思われますので、雑種フグが混入することは全くなく、安心して食べられそうです。

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