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ブラウン運動と原子分子の存在

2021-04-22 10:30:15 | 化学
花粉症の人にとっては花粉は最も嫌なもののひとつかもしれません。私の家の方はそれほど花粉の飛散は多くないのですが、私が勤務していた研究所はかなり離れた山からちょうど花粉が落ちてくるところのようで、朝車を止めておくと帰るまでに車全体が黄色くなるほど多いところでした。

そんな環境でも花粉症を発症しませんでしたので、私は花粉症は免れているようです。この花粉がきっかけで科学が発達したという話しが出ていました。教科書的な話題ですが取り上げてみます。

およそ200年前の話ですが、当時のイギリスの植物学者ブラウンは、受粉の機構を解明すべく研究に取り組んでいました。1827年ブラウンは水に浮かべた植物の花粉を顕微鏡で観察していると、花粉から溶け出した微粒子がジグザグの不規則な動きをしていることを発見しました。

ブラウンは当初この微粒子の動きは、花粉の生命力による動きではないかと考えたようです。ところが細かく砕いた化石や鉱物などにもこの動きがみられることが分かりました。

後にこの運動は、「ブラウン運動」と名付けられ、現在では水以外の液体や気体の中でも起こることが分かっています。このブラウン運動は科学史上でも非常に重要な意味を持っており、これが原子と分子の存在していることの根拠となりました。

今ではあらゆる物質は原子や分子からできていることは当たり前のことになっていますが、これが広く信じられるようになったのは100年前の話で、ごく最近のことです。

原子や分子はじっと静止しているわけではなく、絶えず動いており、この動きを「熱運動」と呼ばれ、温度が高いほど熱運動は激しくなります。ブラウン運動の原理は、水が重要な役割を果たしており、微粒子を取り囲んでいる大量の水分子が様々な方向に熱運動をしながらぶつかることによって生じます。

このブラウン運動が原子論の根拠になったのは、有名なアインシュタインとされています。彼は原子や分子の存在を仮定し、熱運動によってブラウン運動が起きていると考え、微粒子がどのくらい動くかを計算式で求めました。

その後フランスの科学者がブラウン運動の実験を行い、アインシュタインの計算が正しかったことを示しました。この事により古代ギリシャ時代から続いた原子や分子は本当に存在するのかという議論に終止符が打たれたわけです。

今では原子や分子を顕微鏡で見ることができるまで科学は発達しましたが、現代の化学にたどり着くまでは花粉に端を発した歴史があったというのは面白い話でした。


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