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30年以上放置されてきた「少子化問題」の本質は

2023-03-11 10:37:08 | 時事
昨年度の出生数が80万人を割ったという事が大きく取り上げられています。

少子化問題はこのブログでも取り上げましたが、調べてみると30年以上放置されてきたような気がします。日本の人口は今後減り続け、30年後には1億人を割り込むという予測もされています。

これが深刻なのは、総人口の減少に比べて生産年齢人口(15〜64歳)の減少数が多いのに加えて、高齢者人口(65歳以上)の数が今後20年以上も増え続けることです。

実はこの少子化問題は少なくとも今から30年以上前にもその流れを止める手立てを講じるきっかけがありました。1989年に「1.57ショック」という事が問題になりました。

この年に合計特殊出生率(1人の女性が生涯に出産する子供の推計値)が前年の1.66から一気に1.57まで下落し、過去最低となってしまったのです。こうした事態を受け1990年に厚生大臣が主催する懇談会から、「深刻で静かなる危機」と表現される報告書が発表されました。

ここでは次のような分析がされており、1)子育てに伴う負担の増大から、これらの要因を取り除くことが必要、2)仕事と子育ての両立のため働く女性の支援策を早急に拡充することが重要である、としています。

つまり30年以上前から現在の政権が掲げるような問題点が指摘されていたのです。当時の政権はすでにこの問題の重大性を認識し、少子化の原因も保育サービスの拡充の必要性も把握していたにもかかわらず、こういった問題を30年以上にわたって放置してきたといえます。

さらに1991年の内閣に設けられた会議が作成した文書では、現在日本経済が直面している問題も予見しており、「健やかに子供を産み育てる環境づくり」に言及しています。この後政権は完全に放置していたわけではなく、2007年には初めて少子化対策担当大臣が設置されました。

しかしこの大臣が何かをやったという記憶がないまま出生数は減少し、2016年には100万人割れとなっています。

当時の首相は2018年の施政方針演説において少子高齢化問題を「国難と呼ぶべき危機」と表現していますが、この国難は歴代政権が長年にわたってこの問題を先送りしてきたことによる「人災」ではないかと考えられます。

現在は特殊出生率が2.00に回復したとしても、出産適齢期の20〜30代の女性の減少が30年以上にわたって進んできたため、出生数は簡単に減少傾向から抜け出せないという深刻な状況になっています。

現在の岸田首相の「異次元の少子化対策」は、歴代の政権と同じように口先だけの物なのか、どんな実効策が行われるのか注視する必要がありますが、30年来のツケは大きいような気がします。

批判ばかりになってしまいましたので、もう少し続けます。


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