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環境中に残留する医薬品

2019-11-28 10:41:17 | 
経済協力開発機構(OECD)は、大量の抗生物質、鎮痛薬、抗うつ剤から生じる残留物が、淡水生態系や地球の食物連鎖に重大な危険をもたらしているとする報告書を発表しました。

OECDは、世界各地で採取した水サンプルに含まれる医薬品残留物に関するデータと、世界各国の薬剤処方の傾向や水質規制を比較分析しています。

この記事では具体的な薬物や濃度は記載されていませんが、主に抗生物質について議論しています。医療と農業の両分野で、このまま抗生物質が無制限に使用されると、自然環境と人間の健康に悪影響が及ぶ事態は避けられないとしています。

人間や動物が薬剤を使用すると、有効成分の最大90%が自然環境に排出されます。また破棄される薬剤も多く、アメリカだけでも毎年40億に上る処方薬の3分の1が最終的に破棄されていると推定されています。

家畜に使われる抗生物質の使用量は、今後10年で67%以上増えることが予想されており、抗生物質耐性菌が懸念されるとOECDは指摘しています。

実際抗生物質は人の感染症治療に使われる量の何倍もが手術の時の感染症予防に使用されています。家畜類も予防として使われていますので、その量はかなり多くなっていそうな気がします。

報告書では、現代は新薬開発が絶え間なく行われているほか、臨床診療では早期治療と薬の大量投与が薦められていると指摘しています。医薬品残留物は世界中の地表水と地下水で検出されており、その発生については未だに不明な点が多く、濃度についてもほとんど分かっていないとしています。

薬剤耐性感染症による死者は、毎年70万人以上に上っています。世界人口の増加と高齢化、薬剤処方率の上昇に伴い、2050年までに同死者数は年間1000万人に達するのは確実だとされており、この数はガンによる死者数を上回るものです。

高齢化、医学の進歩、食肉と魚肉の生産拡大によって、世界中で医薬品の需要が高まっています。残留医薬品の危険を管理する適切な措置が講じられなければ、医薬品残留物の自然環境への放出は増え続けると報告書は述べています。

また気候変動によってマラリアやデング熱などの感染症が拡大し、発症数も増加していることから、状況は確実にさらに深刻化するようです。ここには医薬品の処方と気候関連疾患にはある種の悪循環が存在すると指摘しています。

人口増加や輸送など人間の活動と気候変動が結びつくと、抗菌剤耐性が高まりその結果さらに多くの医薬品が必要になると述べています。この問題は具体的な対処法もありませんので放置するしかないのですが、それほど深刻な問題にはならないような気がしています。


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