ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

「薬が効いた」は本当なのか

2023-07-27 10:31:14 | 
このブログでも何回か述べていますが、プラセボ(偽薬)によって病気を治すことが究極の医療ではないかと思っています。

最近では新型コロナにイベルメクチンは効果が無いという臨床試験結果が出ています。しかし臨床現場では、「新型コロナに罹ってイベルメクチンを飲んだらよく効いた」と実感した患者も多いようです。

ただし病気は薬を使わなくても自然に治癒することがあり、新型コロナのようなウイルス感染はそういった病気といえます。私はこういった場合でも、プラセボ効果によってより効果が出てくると考えていますが、なかなか医師は納得しないようです。

薬を使った後に症状が改善したら、薬のおかげと考えたくなりますが、薬とは無関係に自然に良くなっただけというのが多くの医師の見解です。こういった薬の効果については、患者の実感だけではなく医師の実感も良く間違うようです。

ひとつの例として、「ダーゼン」という痰切れをよくして呼吸器症状を改善させるという薬がありました。これは年間に数十億円という売り上げがあったそうです。「ダーゼンを飲んだら呼吸器症状が良くなった」という体験をした患者も医師も大勢いました。

ところが製薬会社が再評価したところ、偽薬と比較して差が認められませんでした。再評価で効果を示せなかったため、ダーゼンは発売中止になりました。再評価されなければ年間数十億円という医療費が今も無駄に使われていたことでしょう。

再評価で効果を示さなかった薬は他にもありますが、臨床の現場では効果が実感されていたからこそ使われ続けたのです。「何も効かなければ、とっくに消えてなくなっているはず」という論法は間違っています。

医学の歴史において、効果のない治療が行われ続けた例は非常に多いのです。そうした教訓から、現在では「根拠に基づいた医療(EBM)」が言われているのです。

臨床試験の経験だけに基づくと間違う恐れが大きいですが、臨床試験において二重盲検やランダム化といった手間をかけることでそうした間違いを減らすことができます。

プラセボ効果や誤判定といったバイアスを避けるため、患者と医師の両方が偽薬か実薬かを分からないようにするのが二重盲検です。「飲んだら効いた」という人を何千人と集めても、バイアスは避けられません。

現在はこのEBMの概念の教育が進んでいるようですが、本当に必要なのでしょうか。大事なことは、「飲んだら効いた」ということで、患者が本当にそう思っているのなら、たとえそれがプラセボであっても良いのではないかと思っています。

臨床試験や再評価でどんなに良い結果が出ても、実際の患者が「よく効く」と感じなければ何の意味もないと感じています。やはり現役の医師にプラセボ効果の重要性を教える必要がありそうです。


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