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目にしたものをすべて脳が記憶「サヴァン症候群」

2023-08-18 10:33:16 | 健康・医療
歳を取るとだんだん記憶力が衰えてきますが、このブログでも麻雀の次の日に記録を書いていますが、だんだん思い出すことが少なくなってきました。

ここではすべてを記憶してしまうといわれている「サヴァン症候群」の話です。よく知られているPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、つらい記憶を忘れられないことが患者を苦しめます。

通常なら時間が経てばつらい記憶も薄れていくはずなのに、強い記憶がよみがえるせいで何度も同じ体験を味うことになります。特定な物事だけ驚異的な記憶力を発揮するサヴァン症候群と呼ばれる人たちがいます。

彼らの多くは自閉症スペクトラム障害や知的障害などを持っているため、生活に障害は生じていますが、その記憶力によって自身の才能を開花させていますので、忘れられないこと自体は障害とは言えないかもしれません。

街並みをさっと見ただけでビルの細部まで写真のように描き起こすことが出来たり、一度聞いただけの曲をすぐにピアノで再現できたりします。

また一度読んだ本を一字一句間違うことなく完璧に記憶していたり、複雑な計算を瞬時にやってのけたりと、信じられないような能力を発揮する例が報告されています。しかもその中には模写するだけでなく、創作意欲を発揮し芸術的な作品を作りだす人もいます。

いったいなぜ彼らが驚異的な記憶力を発揮できるのか、そのメカニズムについては現在もまだ解明されていません。映画のモデルになったサヴァン症候群の人は、これまでに読んだ1万冊以上の本をほぼ間違いなく記憶していました。

この人の脳は、「脳梁」という右脳と左脳をつなぐ神経線維の束が生まれつき欠落していました。右脳と左脳は脳梁を介して常に連絡を取りっている大事な部分ですが、なくても生命活動に支障はありません。

脳梁がないことがサヴァン症候群の能力を開花させるというよりは、存在しないせいで右脳と左脳の成長や使い方がアンバランスになってしまった結果かもしれません。

サヴァン症候群の脳では左脳の機能が損なわれており、それを補うために右脳の能力が発達したという仮説があります。実際サヴァン症候群の驚くべき技能は、右脳の能力に関するものです。

この説を後押しする事例として、事故や認知症で左脳の前頭葉と側頭葉に障害を負い、後天的にサヴァン的な能力に目覚めた人がいることが挙げられます。

他の仮説として、サヴァン症候群の人は手続き記憶の能力が発達していて、通常の脳とは違う方法で記憶をしているのではないかという説があります。何を記憶するかを選ぶことは、何を忘れるかを選ぶことでもあります。

脳が何を思い出せないかを知ることは、生き延びるために必要なものを知ることに繋がり、忘れることが重要といえるようです。



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