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ヒトの傷は他の動物より治りが3倍遅い

2025-06-19 10:34:27 | 健康・医療
私は78歳になりましたが、歳をとると手足の傷などが昔に比べて治りが遅くなったと感じています。

これは単に老化によって修復が遅くなっただけではなく、ヒトは他の動物より直りが遅いようです。これは琉球大学などの研究チームが報告したものです。

研究チームは15年以上前から、ヒト属が誕生したと考えられるケニアのサバンナ環境に生息する、霊長類のヒヒの研究を続けています。その過程で、野生のヒヒがケガをするのをよく目撃しました。

自分と比べて、ヒヒの傷の治るスピードが早いのではないかと感じ、疑問に思ったことが研究の出発点だったといいます。研究ではヒト・ヒト以外の霊長類・齧歯類を対象に、皮膚の傷が治るまでの速度を比較しました。

ヒトは皮膚の病気で琉球大学付属病院に入院していた患者の、傷が治る過程を写真で追跡しました。チンパンジーは、チンパンジー同士のけんかで自然に生じた傷を追跡しました。他の動物は、人工的に小さな切り傷を施し、傷が小さくなる速度を計測しました。

対象になった動物は、20代から90代のヒト24人、アヌビスヒヒ6匹、サイクスモンキー5匹、ベルベットモンキー6匹、チンパンジー5匹、マウス8頭、ラット4頭です。

その結果、ヒト以外の動物は平均して1日あたり0.6ミリの速度で傷が治ったのに対し、ヒトの治癒速度は1日あたり約0.25ミリでした。研究チームはこの結果から、ヒトの治るスピードが他の哺乳類に比べて約3倍遅いことが判明したと結論付けました。

ヒト以外の霊長類と齧歯類の間で、治癒速度に差がありませんでした。研究チームが特に注目したのは、ヒトと最も近縁のチンパンジーの治癒速度が、齧歯類など他の動物と同じであったことです。

ヒト特有の治りの遅さは、チンパンジーと系統が分かれてヒトになってから生じた可能性を示しているといいます。なぜ人の傷が治るスピードが遅いのか、複数の理由が考えられるとしています。ひとつ目は、ヒトの体毛が薄いことです。

ほかの動物は、毛が生えているところに傷の治りを早くする細胞があるそうです。この体毛はクッションの役目や、刺激から肌を守る役目もしています。二つ目は、ヒトの皮膚が厚いことです。

ヒトは体毛が薄くなった分、紫外線や外的な刺激から体を守るため、皮膚が厚くなっています。厚い皮膚の再生は薄い皮膚の再生より時間がかかります。三つ目は、ヒトが進化の過程で手に入れた能力が関係している可能性です。

ヒトは社会生活を送る中で、けがをしたときに助け合う習慣が生まれたことや、傷に薬草を使う知恵を学習してきました。そうして傷を早く治す必要性が低下したため、健康上の不利である傷の治りの遅さが生まれた可能性もあるとしています。


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