ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

健康保険で「遺伝子検査」が受けられる

2024-02-13 10:34:38 | 健康・医療
私の大学時代の友人が肺腺ガンになり、遺伝子検査を受けて分子標的薬の治療を受けています。

ガンは発症した臓器の名前で分類し治療しますが、私はガンのどの遺伝子が変異してガンになったかで分類する方が有用ではないかと思っています。しかしほとんどのガン患者は遺伝子検査などしていないのが実情のようです。

遺伝子の検査は健康保険で受けられる場合と、自費で行う場合があります。現在健康保険で検査できる遺伝子は、その遺伝子異常に対する分子標的薬が保険収載されている場合に限られています。

言い換えれば、ある分子標的薬が効くかどうかを診断するために遺伝子異常を調べる場合にだけ、健康保険で遺伝子の検査をすることができるにすぎません。この様な遺伝子検査に用いる診断キットを、コンパニオン診断薬と呼びます。

コンパニオン診断薬で、ある遺伝子に異常があるかどうかを調べて、異常があった場合その遺伝子異常に合った分子標的薬を使った治療が標準治療となります。残念ながら分子標的薬を長く使っていると、だんだん効かなくなってくることがあり、これをガンの薬剤耐性と呼んでいます。

薬剤耐性が起こるのは、ガンが薬の攻撃から逃れるために遺伝子を変化させるからです。たとえば分子標的薬は、異常を起こしている遺伝子からできるタンパク質の「ポケット」に結合して、そのタンパク質の働きを抑えます。

ガンは遺伝子を変化させてポケットの形を変えてしまうのです。そうなると分子標的薬は結合できなくなり、薬が効かなくなってしまうのです。

現在の遺伝子検査は、ガンの発生に関わる遺伝子異常を調べるものがほとんどですが、ガンの進行や転移などに関わる遺伝子異常も知られており、ガンに関係する遺伝子は200〜300個あると考えられています。

一人ひとりのガンは、遺伝子のタイプがみな異なり、「個性」をもっています。ガンの個性が分かればより良い治療につながる可能性があるため、ガンに関わる遺伝子を一度に調べて、ガンの個性を明らかにしようという動きが始まっています。

ガン遺伝子パネル検査システムは、2023年11月で、5つの製品が保険適用となっています。コンパニオン診断薬が一つか二つの遺伝子を調べるのに対し、ガン遺伝子パネル検査ではガンに関係する数十から数百個もの遺伝子を一度に調べます。

ただしこの検査を保険で受けられるのは、標準治療をすべて行って、これ以上治療方法がないとなった患者に限られています。この検査によってよい治療結果が出るようになれば、保険適用の幅も広がるのではないかと思っています。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿