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大腸ガンで有効な内視鏡治療ESDの課題

2022-08-28 10:42:19 | 健康・医療
2022年のガンの罹患数予測では、大腸ガンが男女合わせて15万8200人で1位となっています。

大腸ガンは食の欧米化との関係が強いとされていますが、私は食事内容でガンが増加することはなく、単純に高齢化が原因ではないかと思っています。

国立ガン研究センターなどが、早期の大腸ガンにESD(内視的粘膜下層剥離術)と呼ばれる新しい内視鏡治療の効果を調べた結果、5年生存率が94%に上がったと発表しました。従来の内視鏡治療にとって代わり、標準治療になるかもしれません。

従来の内視鏡治療は、ガンやポリープの根元に直径2〜3センチのスネアという金属製の輪をかけて切除します。スネアの大きさに制限されるため、従来の治療対象は「最大径が2センチ未満」が原則でした。治療の安全性が高く、短時間で治療できるため外来で行うことができます。

内視鏡検査でポリープなどが見つかると、2センチ未満であればその場で切除することが可能です。私の友人も大腸内視鏡検査でポリープが見つかり、何個か切除したといっていました。

これが従来の内視鏡による切除ですが、大きさによってはガンの取り残しのリスクがあり、再発率が10%以上と高いことが課題といえます。ESDは内視鏡に装着した高周波ナイフでガンの周りの粘膜を切り、その下部にある粘膜下層を薄くはぎとることでガンを切除します。

内視鏡を扱う医師が、切除する範囲や形を思い通り決められるため、2センチ以上の病変を切除することができるのです。国立ガンセンターなどのグループは2013年から2年間ESDを受けた1883人を登録し、その結果5年生存率は93.6%となりました。

8人(0.5%)に再発が認められましたが、いずれも内視鏡で切除できています。従来の内視鏡に比べてESDはガンの取り残しが少なく、再発リスクも低いことが明らかになりました。

ただし大腸の壁は2〜3ミリと胃の半分ぐらいの薄さで、ちょっとした操作ミスが出血やせん孔に繋がりますので、ここを薄くはぐのは高い技術が必要なようです。

今回の研究ではせん孔が2.9%、出血が2.6%に認められたものの、多くはその時の追加処置で対処できていて、外科手術が必要だったのは0.5%でした。

このようにESDは外科手術より肉体的負担が少なく、患者にとっても期待される治療法ですが、医師の技術によるところが大きいことが課題かもしれません。

それでも早期発見ができれば、少ない負担で切除できる可能性が高まっていますので、便潜血検査などを心掛けることが大切といえます。このESDが今後どの程度普及するのかも課題のひとつといえますが、早く標準治療になることを願っています。


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