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体内時計とアレルギー疾患

2016-04-19 10:42:09 | 健康・医療
生物には皆体内時計があり、24時間周期で回っているようですが、アレルギー症と微妙な関係があるようです。

かなり前から喘息や花粉症などが、朝起きたときや夕方にひどくなるという傾向は見つかっていたようです。私もやや喘息があり、今は薬を吸入していますので、ほとんど咳も出ないのですが、それ以前は朝起きてしばらくと夜にひどい咳が出ていました。

この体内時計の仕組みはあまり分かっていないようですが、タンパク質が振り子の役割をしているようです。人間では脳内ですが、あるタンパク質が作られ徐々に減少していくと、それを作るような指令が出され、また合成され増加していきます。この増減のサイクルが一定の時間のようです。しかしこれは正確に24時間ではなく、やや遅れる傾向にあり、日照などによって調整されているようです。

アレルギー疾患にはマスト細胞(肥満細胞)が大きく関与していると言われています。肥満細胞といってもいわゆる肥満とは全く関係がなく、膨らんだ形状からこのような名前になっているようです。マスト細胞はIgEを介したアレルギー反応の主体で、内部にヒスタミンをはじめとする化学伝達物質が詰まっており、それが脱顆粒と言われる外部へ放出することによって、アレルギー反応が起こるとされています。

このマスト細胞の活動が、体内時計によって制御されているということから、山梨大学医学部の研究グループが色々な取り組みを行いました。そのうちの一つが、体内時計タンパク質を分解・減少させる酵素である、カゼインキナーゼの阻害剤を投与したところ、花粉症マウスではくしゃみや鼻かき行動が減少したと報告しています。

また人間でも花粉症の患者の免疫細胞で調べたところ、症状が和らぐ反応が出たそうです。これは体内時計が夜から昼に切り替わったためとしています。この阻害剤はアメリカの製薬会社が、不眠症の治療薬を作る過程でできたものです。研究グループは、花粉症以外のアレルギー疾患にも効果があり、実用化に向けた準備をしており、新しいアプローチの治療が可能になるとしています。

確かにこれは新しい方向であることは確かですが、これではマスト細胞の活性をコントロールしているわけではなく、単に全体的に弱めているだけですので、色々なアレルギー疾患の根本的な治療方法になるかは、やや疑わしいような気もします。しかし現在は難治性のアレルギー疾患が多数ありますので、こういった新しい方向性の研究も必要なのかもしれません。

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