ごっとさんのブログ

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心血管疾患の患者の配偶者は「うつ病」にかかりやすい

2024-05-31 10:32:50 | 健康・医療
私は昔はうつ病がいろいろ話題になったころ、単なる気分の問題かと思っていました。患者の意思が弱いなどどうも精神疾患全体をやや否定するような感覚でいました。

それが退職後勤務した研究所で、知人の研究員がうつ病になり、その行動を身近でみていると本当に重篤な病気であると実感し、それまでの私の感覚は間違っていたと大いに反省しました。

またいろいろ聞いてみると、うつ病はちょっとしたきっかけで誰もが発症しうる病気であると感じています。何か病気になると精神にダメージを受け、うつ病になりやすくなることは以前から知られていました。

京都大学とボストン大学などの研究グループは、心血管疾患の患者の健康な家族もうつ病になりやすいことを明らかにしました。うつ病は関節炎、糖尿病、喘息などの慢性疾患と併発しやすいことは以前から知られていました。

うつ病を併発すると、罹っている病気が悪化し、患者の負担を増やしてしまいます。同じように、動脈が硬くなるなどして起きる狭心症、心筋梗塞、心不全といった心血管疾患の患者もうつ病になりやすいようです。

京都大学とボストン大学などの研究グループは、心筋梗塞などの心血管疾患を発病した患者の配偶者は、うつ病の発症リスクが高くなることが分かったと専門誌に発表しました。

同研究グループは、全国健康保険協会に加入する世帯主(被保険者)とその扶養家族(配偶者)27万7000組を対象とし、2016年4月から2022年3月までの間の被扶養者の心血管疾患発症の有無と世帯主のうつ病リスクの変化を比較しました(年齢、性別、収入、心血管疾患の病歴で調整)。

対象となるペアは、日本の全生産年齢人口の約40%となっています。その結果観察期間中、被扶養者の心血管疾患により、うつ病を新たに発症した世帯主は4876人(1.8%)となりました。

被扶養者が心血管疾患を発症した家庭では、していない家庭に比べ世帯主のうつ病発症リスクがより高くなり、被扶養者の発症した心血管疾患がより重症な場合、世帯主のうつ病リスクがより高くなることが分かりました。

うつ病の患者数は日本でも増加傾向にあり、100万人以上の患者がいると考えられています。ガンなどでは家族のメンタルケアがある場合も多いのですが、心血管疾患などで家族への心のケアはほとんど行われていません。

これまで世帯全体を対象にした予防医学研究は多くないようです。同研究グループは、患者と家族は最も身近な存在であり、家族が心血管疾患にかかった場合、その家族へのメンタルヘルスに留意することで、家族のうつ病発症を予防することも重要としています。