ごっとさんのブログ

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食欲をコントロールする7つのホルモンの話し

2023-05-27 10:32:06 | 自然
誰しも何時間か食べずにいれば空腹になり、十分な量を食べれば満腹になりますが、実際はかなり複雑なことが起きているようです。

さまざまなホルモンが空腹感や満腹感、脂肪の蓄積を調整し体重や健康に影響を及ぼしています。簡単にいえば、空腹感と満腹感は腸と脳(特に視床下部)でのホルモンの相互作用によって調節されています。

その主な働きは蓄えた脂肪を守り、体重をできるだけ安定させることです。この空腹・満腹調節システムは進化によって獲得されたものであり、代謝の速さや体重の維持など生存に不可欠な要素に影響を及ぼしています。

これらのホルモンには遺伝的な要因に影響されるものもあれば、ライフスタイルやある種の病気や体重や体組成の変化などに影響されるものもあります。

それぞれのホルモンはオーケストラの楽器のように協調しているため、どれか一つだけに注目するのは正しくないと専門家は説明しています。そういったホルモンについてみていきます。

まず「レプチン」ですが、全身の脂肪細胞から分泌されもう満腹だというシグナルを送って食欲を抑えます。肥満症の人は体脂肪が多かったり、レプチンが働きにくくなっていたりするため、レプチンの血中濃度が高くなる傾向があります。

これに対して摂取カロリーを減らして体脂肪を減らすと、レプチンの濃度は低下します。次の空腹ホルモンと呼ばれる「グレリン」は胃から分泌され、食事の直前に高くなり食後は下がります。体重を減らそうとしてカロリー制限を行うと、グレリンの普段の血中濃度が高くなります。

2017年の論文によると、グレリンのベースラインが高い人ほど、脂肪分の多いものや甘いものを強く欲し、6カ月の体重増加も大きいようです。3番目が「コレストキニン」で、食後に小腸から分泌される満腹ホルモンです。

胃からの食べ物の通過を遅くすることで消化を促し、満腹感を高めさせるとともに膵臓からの膵液や酵素の分泌を増やし、脂質やタンパク質を代謝させます。さらに脳の食欲中枢に作用して食欲を減らしている可能性もありますが、このメカニズムは完全には解明されていません。

その他食欲関連では、「インスリン」「コルチゾール」「GIP」「GLP-1」などが重要な働きをしています。空腹ホルモンに関連した近年の大きな動きとしては、GLP-1やGIPの働きをまねて肥満症や糖尿病を治療する新薬の開発が進んでいるようです。

このように空腹感や満腹感は単純な感覚ではなく、多くのホルモン類が複雑に絡み合いながら体重をコントロールしているといえそうです。

この辺りが過度なダイエットの問題点が出てくるようですが、結局適度な食事が健康のためには最も良いという当然のことになるのかもしれません。