ごっとさんのブログ

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すぐにでも止めたい死亡リスクを上げる考え方

2023-05-19 10:37:24 | 健康・医療
昔から「病は気から」という言葉がありますが、私はこれを科学的にも正しいと感じています。

このブログでも何回か触れてきましたが、私の好きな「プラセボ効果」と逆の「ノセボ効果」で説明できる気がしています。

これは新薬の臨床試験で出てくるものですが、プラセボ効果は偽薬を処方されているのに、被験者が効きそうだと感じることで効果が出る現象です。これはクスリの種類にもよりますが、平均して20%程度はこの効果が出るとされていますのでかなり頻度は高いものです。

ノセボ効果は同様に偽薬を処方されているにもかかわらず、新薬で出る可能性があるとされている副作用が出てしまうという現象です。これはそれほど頻度は高くないようですが、新薬開発の妨げになる厄介な問題として捉えられています。

つまり共に偽薬という何の効果もない糖類などを処方されているのに、効きそうだと希望を持つと病気が治り、逆に害があるのではないかと感じると副作用が出てしまうという事です。まさに「病は気から」の典型例ではないでしょうか。

さてここではすぐにでも止めたい死亡リスクを上げる日々の思考について紹介します。病気を防ぐために食事や運動に気を付けることは重要ですが、それ以外にもある日々の思考が死亡率に影響を与えることが分かっています。

それが「人と自分を比べる」ことです。アメリカでは「比べると絶望する」ということわざがあるようですが、多くの人は比べることで落胆したり、ネガティブな気持ちになることが多いのかもしれません。

人にとって比べやすいものは、所得と社会的な地位でしょう。経済学者が行った実験では、周りと自分との収入の差について自分が感じる差がどの程度健康に影響を与えるのか測りました。

所得・人種・年齢・学歴など自分が住んでいる州の平均的な人たちと比べて、自分の所得などが少ないといった「自分が平均から離れている」と感じた場合、その距離感が1区分増えるごとに死亡率が57%も上昇していることが分かりました。

死亡率だけではなく、喫煙率、肥満率、精神科の治療を受けている率も、距離感があると感じれば感じるほど上昇していました。

ハーバード大学の研究では、実験対象の女性42人に対しヒトとのコミュニケーションにおいて、自分より偉そうな態度を取られたとき(自分の地位が低く感じる)と、好意的な反応を受けた時で心肺機能の変化を観察しました。

その結果自分の地位が低いと感じた時収縮期の血圧が上昇しました。研究者はこれが恒常的に続いたときのストレスの影響は、健康にとって計り知れないものになるとコメントしています。

現代は情報量が非常に多く、無意識のうちに人と比べているかもしれませんが、うまく比べる対象から距離を置くことが健康になるための秘訣かもしれません。