ごっとさんのブログ

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老化研究の成果で老化を防ぐ薬の候補発見

2022-02-24 10:25:59 | 
近年老化の研究は非常に盛んになり、老化は病気の一種という説や、老化予防のワクチンまで飛び出しこのブログでも取り上げています。

老化を抑制するには、すでにサプリメントとして販売されているMNMなどが良いという説も出ていますが、ここでは老化を止める有力候補という薬を紹介します。

最近出てきたのが糖尿病治療薬としてよく使われる「メトホルミン」と、臓器移植で拒絶反応を抑えるために用いられてきた「ラパマイシン」です。いずれも動物実験で長寿効果が期待されており、両方とも細胞の老化に関連する分子プロセスを標的にしています。

もうひとつの方法は「セノリティクス(老化細胞除去薬)」と呼ばれる新しいタイプの薬剤です。これは有害な老化細胞を体内から取り除く働きをし、老化細胞は全身の組織に蓄積され他の細胞にダメージを与える因子を分泌します。

さらに細胞が老化すると時計の針を戻し、若い細胞の機能を回復する「細胞の初期化」という戦略まで出てきているようです。こういった長寿の夢を追いかけ、学術研究機関やバイオテクノロジー企業などが次々とアンチエイジング分野に参入しています。

その活動は米国老化研究所の年間30億ドル(約3400億円)の研究予算や一部の著名な富豪、ベンチャーキャピタル投資家に支えられています。しかし技術面だけではなく、規制上や経済的、社会的にもハードルは高いといえます。

例えばFDA(米食品医薬品局)は老化を治療すべき疾患とは認めておらず、老化をターゲットにした薬剤が承認される明確な道筋はありません。

主要な医学的死因、例えば心血管疾患、脳卒中など多くの病気は通常人生後半に発症し、一定の生物学的な老化の特徴を伴うことが明らかになっています。こうしたプロセスを遅らせたり、回復させたりする薬があれば、加齢性疾患のリスクを低下すると期待されます。

そういった点からも薬としての開発の意義は大きいと考えられています。これに最も近いのが現在計画されている、メトホルミンの長寿効果を調べる臨床試験「TAME」と言えるようです。

メトホルミンは血糖値を下げ、インスリンの効き目を改善する薬ですが、同時に代謝を良くして炎症を抑え、ミトコンドリアを活性化するなど加齢に伴う細胞機能にも影響を与えます。またヒトへの使用歴も長く、安全性にも優れているようです。

この研究はコロナのためまだ開始していませんが、男女3000人を対象に全米14カ所で行われる予定です。またラパマイシンの可能性は、ワシントン大学の動物実験で老化に幅広い効果が認められたとしています。

どちらも古くから人間に処方されていますので、そういった効果が報告されていても良いはずですが、あまり聞いたことが無いというのはそれほど効果がないのかもしれません。

私にとっては抗老化薬が開発されても手遅れですが、いわば夢を追う研究として面白いのかもしれません。