ごっとさんのブログ

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ガンを抑制するタンパク質を発見

2022-02-16 10:28:11 | 健康・医療
私はいわゆるガン年齢をとっくに過ぎており、いつ発症してもおかしくない歳になってしまいました。昨年古くからの友人が2人も肺ガンと肝臓ガンで亡くなり、ガンは身近な問題となっています。

岐阜薬科大学の研究グループが、ガン細胞を生み出す能力を持つ「ガン幹細胞」に発現するタンパク質が、ガン幹細胞の機能を調節していることを発見したと発表しました。

このタンパク質は「SMURF2(スマーフ2)」と呼ばれ、このリン酸化によってガン幹細胞が原因で発症する治療困難な脳腫瘍「グリオプラストーマ」の進行を抑制できることを解明しました。

スマーフ2はユビキチンリガーゼと呼ばれる合成酵素としての活性も持っているようですが、その詳細は明らかになっていません。

研究グループは患者由来のグリオーマ幹細胞から、スマーフ2の働きを抑えた「スマーフ2抑制細胞」を作製し、ガン幹細胞の機能が増強したことを確認しました。スマーフ2抑制細胞をマウスに移植したところ、生存期間が大幅に短縮し、腫瘍サイズも増大しました。

グリオプラストーマを含む悪性度の高い腫瘍組織を調べると、スマーフ2を構成するアミノ酸「Thr249」のリン酸化が抑制されており、スマーフ2の活性化が抑えられていました。

スマーフ2が発現した細胞と、この働きが弱い細胞をマウスに移植したところ、発現細胞を入れたマウスは生存期間の延長と腫瘍サイズの減少がみられ、働きが弱い細胞を入れたマウスは生存期間の短縮と腫瘍サイズの増大が見られました。

スマーフ2のリン酸化によって、ガン細胞の機能を調節するタンパク質の結合体の分解を促進させていることが分かりました。研究グループはスマーフ2のリン酸化のスイッチをオンオフする仕組みが分かったことで、ガン根絶のための新しい治療戦略ができるとしています。

また研究グループは、スマーフ2のリン酸化を調節する創薬に取り組んでおり、他のガンにも当てはまる可能性があり、有効な治療法が確立されていない疾患の解決が期待されています。

この研究はなかなか面白いものですが、あくまでスマーフ2発現細胞の移植という間接的な方法となっています。もしこのタンパク質が腫瘍抑制効果があるのならば、このタンパク質を単離し直接投与する方法を見る必要がありそうな気がします。

また脳内のグリア細胞が腫瘍化した特殊な脳腫瘍をターゲットとしている割には、ガン幹細胞の抑制としていますが、あまりにも特殊なガンを対象としているような気もします。

それでもガン細胞の機能調節の新しい仕組みの発見であり、大いに興味ある知見といえそうです。